欧州外出身の子どもの溺死リスク、オランダ生まれの14倍――CBSが10年間のデータ公表
水泳資格の取得率格差が背景に。移民家庭の子どもへの支援が急務
オランダ統計局(CBS)は7月、2016年から2025年の10年間における溺死事故の分析結果を公表した。この期間にオランダ国内で溺死した居住者は930人に上り、そのうち10歳未満の子どもが57人、10〜20歳が53人の計110人を占める。注目すべきは、これら子どもの溺死者の半数以上が非オランダ系の背景を持つという事実だ。
格差の実態――14倍という数字が示すもの
年齢層別に見ると、格差が最も顕著なのは10〜20歳の層だ。10万人あたりの溺死率を比較すると、欧州外出身の10〜20歳の溺死率はオランダ系の若者の約14倍に達する。10歳未満でも約8倍という大きな差が確認されており、年齢を問わず出身地が溺死リスクに深く関わっていることが浮かび上がる。
一方、興味深いのは「親が移民であってもオランダ国内で生まれた子ども」のデータだ。この層の10〜20歳における溺死率は、オランダ系の若者よりもむしろ低い水準にある。つまり、出身背景そのものよりも、オランダで育ったかどうか——すなわち水辺の環境への慣れや水泳教育の機会——が、リスクの大小を左右している可能性が高い。
水泳資格の取得率に顕著な差
CBSは今回、溺死率格差の直接的な原因については言及していない。ただし、ムリエ研究所が別途実施した調査が、背景を読み解く重要な手がかりを与えている。同調査によると、海外生まれの子どもの40%が水泳資格を持たないのに対し、親が移民でもオランダ生まれの子どもでは24%、移民背景のない子どもでは9%にとどまる。水泳教育へのアクセスや習慣の差が、溺死率の格差に直結していると見られる。
また、溺死事故の発生場所に関するデータも注目に値する。溺死者の78%が、用水路・河川・運河・湖・池・海などの屋外の水辺で亡くなっている。オランダは国土の約26%が海面下に位置し、全国に張り巡らされた水路が日常生活のすぐそばにある。こうした地理的環境は、水泳能力を持たない子どもにとって潜在的な危険を常にはらんでいる。
在蘭日本人家庭への示唆
今回のデータは、日本からオランダへ移住した家庭にとっても無縁ではない。子どもが現地の学校や日常生活に慣れる一方で、水泳教育の機会が十分に確保されているかは改めて確認する価値がある。オランダでは「水泳ディプロマ(Zwemdiploma)」の取得が一般的であり、とくにA・B・Cの3段階の資格が広く普及している。移住後まもない家庭では、こうした制度を積極的に活用することが、子どもの安全を守る具体的な一歩となりうる。
広告掲載にご興味のある方は こちら
情報源: DutchNews




/s3/static.nrc.nl/wp-content/uploads/2026/07/16131324/230726WET_2033080998_1.jpg)