ロッテルダムの住宅地に夜間立入禁止令——オランダ初の前例なき措置
デ・エッシュ地区、毎夜23時〜翌5時を無断滞在で刑事犯罪に
ロッテルダム市のデ・エッシュ地区で7月より、夜間の立入禁止令が正式に施行された。毎夜23時から翌朝5時の間、正当な理由なく同地区内にいることが刑事犯罪となり、違反者には罰金が科される。オランダの自治体がこうした形で特定区域への「立入そのもの」を犯罪とするのは異例中の異例で、フローニンゲン大学の公共秩序法専門家ミシェル・フォルス教授はNOSの取材に「他のオランダ自治体でこのような措置を取った例を知らない」と述べ、移動の自由に対する重大な制約だと指摘している。
3年間の無秩序状態が引き金に
この措置の背景には、コロナ禍が落ち着いた後から続く深刻な地域の混乱がある。住民によれば、地区外から集まってくる人々による街頭レース、薬物・笑気ガスの使用、売春行為が常態化し、女性や子どもが夜に外出できない状況が続いていた。「もう限界だった。何かを変えなければならないのに、何も変わらなかった」と、ある住民はNOSのインタビューで語っている。地区評議会の議長クリスティアーン・デ・ヨング氏によれば、週末には数十人、時に数百人が外部から押し寄せていたという。
市当局はこれまでもコンクリートブロックの設置や巡回強化、当事者との対話といった対策を講じてきたが、効果は限定的だった。「デ・エッシュに平穏を取り戻し、住民が安心して暮らせるようにしなければならない。だからこそ、この権限を行使する」と、担当幹部のスハウテン氏は禁止令の意義を強調した。
「名指し禁止」から「誰でも対象」へ
オランダの市長はこれまでも、特定の個人を指定して区域から排除する命令を出す権限を持っていた。しかし今回のデ・エッシュの措置は、名前を特定せず「理由を説明できない者すべて」を対象とする点で根本的に異なる。フォルス教授は、隣接する地区に住む人が夕方に犬を散歩させながらデ・エッシュを通り抜けただけで違法になり得ると指摘し、その影響範囲の広さに警鐘を鳴らしている。
警察側は、従来の対応では限界があったと説明する。住民から通報を受けて駆けつけても、到着時には既に問題行動が終わっており、警官が現場で直接目撃しなければ取り締まれないケースが多かった。「存在すること自体」を取締対象にすることで、現場の警官が実際に介入できる根拠が生まれるという論理だ。
禁止令は施行から3か月後に評価が行われる予定であり、効果と副作用の両面が検証される。在蘭日本人にとってデ・エッシュは必ずしも身近なエリアではないが、この措置は「公共の秩序」と「移動の自由」をどこまで制限できるかという、オランダ社会全体に関わる重要な問いを投げかけている。今後、類似の措置が他都市に広がるかどうかも注目される。
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情報源: DutchNews




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