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ボックス3税制改革案、専門家が「愚策」と批判――投資家も国庫も損をする矛盾
経済 読了 2分

ボックス3税制改革案、専門家が「愚策」と批判――投資家も国庫も損をする矛盾

未実現利益への課税が生む複利破壊と税収減のパラドックス

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オランダの資産課税制度「ボックス3」の2028年改革案をめぐり、専門家から厳しい批判の声が上がっている。ファイナンシャルアドバイザーのルーク・スタデン氏(Staden Financial Management代表)は、新制度が投資家にとっても国庫にとっても不利な結果をもたらすと詳細な試算とともに指摘した。改革案はオランダ上院で反対意見が根強く、6月23日に予定されていた最終確定が延期されており、制度の行方はいまだ定まっていない。

「含み益課税」が生む不公平な構造

現行のボックス3は、年初の資産残高をもとに「みなし利回り」を算出して課税する仕組みで、実際の運用成績にかかわらず税金が発生するという問題を抱えてきた。多くの関係者は2028年の改革で「実現利益課税」、つまり資産を売却した時点で初めて課税する方式への移行を期待していた。しかし政府が打ち出した案は、毎年12月31日時点の「未実現利益(含み益)」に課税するというものだった。

この仕組みの問題点として、スタデン氏が特に強調するのがボラティリティ(価格変動)への不公平な扱いだ。たとえば、ある投資家が1年目に5万ユーロの含み益を計上した場合、税率36%で1万8,000ユーロの納税が求められる。しかし翌年に株価が急落して4万ユーロの損失が出ても、前年に支払った税金は還付されない。損失は「翌年以降への繰り越し」しか認められていないためだ。最終的な利益が安定資産を持つ別の投資家と同じであっても、ボラティリティの高い資産を持つ側が大幅に不利な扱いを受ける。スタデン氏はこれを「ボラティリティへの課税」と表現し、「政府は値上がりの恩恵は享受し、値下がりのリスクは投資家に押し付けている」と批判する。

投資家も国庫も損をする逆説

さらに問題とされるのが、複利効果への打撃だ。スタデン氏は100,000ユーロを年率10%で20年間運用するシミュレーションを提示した。実現課税制度の場合、売却時に一括で課税されるため複利が阻害されず、最終的な手取りは約46万6,000ユーロ、政府の税収は約20万6,000ユーロとなる。一方、未実現課税制度では毎年税金分を切り崩すため実質的な複利率が6.4%に下がり、投資家の手取りは約34万5,800ユーロ、政府の税収は約13万8,000ユーロにとどまる計算だ。

投資家が約12万ユーロ、政府が約6万8,000ユーロ——双方が損をするという結果は、制度設計の根本的な矛盾を示している。スタデン氏は「政府は国民を老後に向けてより貧しくする一方、国庫への収入も長期的に減らすことになる」と述べている。

在蘭日本人への影響と今後の見通し

オランダに居住して投資口座を持つ日本人にとっても、ボックス3の行方は直接的な生活課題だ。現在、ボックス3の課税対象となる資産(預金・株式・債券など)を持つ居住者は新制度の影響を受ける可能性がある。含み益の段階で現金化を迫られる局面が生じれば、長期的な資産形成の計画を見直す必要が出てくるケースもあるだろう。

上院での審議が続く中、政府が方針を修正するかどうかが今後の焦点となる。制度が確定した際には、個人の運用戦略やポートフォリオ構成に与える影響を改めて専門家に相談することが望ましい。

情報源: DutchNews

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