独海軍が180億ユーロ契約を破棄——ダーメン、試練が重なる
刑事裁判・政府融資に続き、主力プロジェクトでも痛手
オランダ最大の造船会社ダーメン(本社:ホリンヘム)が、またも大きな逆風にさらされている。ドイツ連邦政府が、同国海軍向けフリゲート艦6隻の建造契約を破棄したのだ。契約規模は約180億ユーロにのぼり、ダーメンにとって主力案件のひとつだった。同社広報は「現在、決定の影響を精査している」とコメントするにとどまり、具体的な損失額や今後の対応については明らかにしていない。
主契約者の座を失い、それでも残っていた関与
ダーメンは2年前、キールとハンブルクで艦船を建造する主契約者としてドイツ海軍に採用された。しかし、下請け業者が設計図を期限内に納入できなかったことで工期が大幅に遅延。その結果、主契約者としての地位はドイツの鉄鋼大手ラインメタル傘下のNVL社へ引き渡された。それでもダーメンはプロジェクトへの関与を維持していたが、今回の全面的な契約破棄によりその立場も消えることになる。
工期遅延に伴いドイツ海軍が支払いを停止したため、ダーメンの資金繰りは急速に悪化。オランダ政府は同社を存続させるため、2億7000万ユーロの緊急融資(ブリッジローン)を実施していた。年間売上高が約30億ユーロの企業にとって、この規模の国家支援は異例であり、経営の深刻さを物語っている。
刑事裁判という別の重荷
資金問題とは別に、ダーメンは現在、大規模な贈賄疑惑とEU制裁違反の罪でも法廷に立たされている。昨年11月にズウォレで始まった公判は、会長のコメル・ダーメン氏、現CEOのアルノウト・ダーメン氏、前CEOのルネ・ベルクフェンス氏らを中心に、89ページにおよぶ起訴状に基づいて進められている。ブラジルの石油大手ペトロブラスやキュラソー港湾当局への不正献金、シエラレオネ・トーゴ・ガーナ・バハマ・トリニダード・トバゴ・インドネシアにおける非公開のコミッション取り決めなどが列挙されている。さらに検察は、2022年にロシアへ輸出した船体についてEU制裁の適用を免れるために誤った輸出コードを使用したと主張しており、主要な欧州防衛関連企業が制裁違反で訴追される初めてのケースとなっている。
在蘭ビジネス界への示唆
ダーメンはオランダ唯一の軍艦建造能力を持つ造船所であり、その行方は国内防衛産業全体にとっても無視できない問題だ。欧州各国が防衛費を急拡大させるなか、主要な造船会社が法的・財務的な苦境にあることは、オランダの防衛産業政策にも影を落とす。今後の公判の行方とドイツとの交渉の結果は、在蘭ビジネス関係者にとっても注視すべき動向といえる。
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情報源: DutchNews
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