国家評議会、ハイネン財務相の所得税改革案を強く批判――2028年実施は「非現実的」
Box 3課税問題の長期化で年間35億ユーロの税収損失が続く
オランダの国家評議会は、エルコ・ハイネン財務相が推進する資本利得税制度への移行計画について、「拙速で十分な検討を欠く」と厳しく批判する報告書を公表した。2028年の法律施行という目標期限は非現実的であり、税務当局や銀行、その他の金融機関がシステムを改修するための時間が確保できないと指摘している。今回の勧告は、来年度予算の議会審議でも難航が続く連立内閣にとって、さらなる打撃となった。
Box 3問題の根深い背景
今回の改革論議の発端は、資産課税の区分である「Box 3」にある。Box 3では、預貯金や投資から得られる収益に対し、実際の運用益ではなく推定利回りをもとに課税が行われてきた。しかし国家評議会は2021年、この仕組みが一部の預金者を不当に差別するとして違法と判断。以降、実際の運用益が推定値を下回る納税者は税額の減額を申請できる一方、上回っても追加課税されないという片務的な状態が続いている。その結果、国庫は年間35億ユーロの税収損失を被り続けており、制度の抜本的な見直しは急務となっている。
連立内でも割れる改革の方向性
改革の方法をめぐっては、与野党の間で意見が分かれている。D66やCDA、左派野党は実際の運用益に課税する「キャピタルインカム課税」を支持する一方、ハイネン財務相が属する右派自由主義政党VVDやJA21などは、資産売却時に課税する「キャピタルゲイン課税」を推す。ただし後者の方式を採用した場合、資産が売却されるまで課税できないため、短期的に最大100億ユーロの税収不足が生じるとの試算もある。
ハイネン財務相は、下院を通過済みながら上院の審議待ちとなっている法案を修正する「ノヴェル」という立法上の手続きを活用し、2028年に不動産やスタートアップ企業への資本利得課税を先行導入したうえで、2030年に全資産への適用拡大を目指すという段階的アプローチを提案していた。しかし国家評議会はこの案について、対象となるのが全資産価値の約10%に過ぎないうえ、「非常に高速なペースでの立法が必要になる」として複雑すぎると否定的な見解を示した。2030年に制度全体を一括で移行するほうが現実的だとの勧告である。
在蘭日本人への影響と今後の見通し
オランダに居住し、資産運用や不動産投資を行っている日本人にとっても、Box 3の行方は無視できない問題だ。現行制度の違法状態が長引くほど、将来的な税制変更による影響の幅も大きくなる可能性がある。国家評議会の勧告に法的拘束力はないものの、政府・議会の議論に与える影響は大きく、今後ハイネン財務相がどのような修正案を提示するかが焦点となる。制度の行方は2030年以降の課税にも直結するだけに、引き続き動向を注視する必要がある。
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情報源: DutchNews



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