ユトレヒト環状道路の拡幅中止で、住民は「騒音地獄」にあと数年
行政最高裁が窒素問題で計画を全却下——防音強化策も消える
ユトレヒト市南西部を走る高速道路A27・A28・A12の沿線に暮らす住民が、長年悩まされてきた騒音問題の解決が、またしても遠のいた。オランダの行政最高裁判所(ラート・ファン・ステーテ)は3月11日、これらの道路の拡幅計画が周辺の自然保護区に与える窒素排出量が許容限度を超えるとして、計画全体を却下する判断を下した。この決定はインフラ整備の問題にとどまらず、沿道住民が長年待ち望んできた大規模な防音対策の消滅をも意味する。
数十年越しの議論が振り出しに
ユトレヒト環状道路をめぐる議論は、数十年にわたって続いてきた。交通渋滞が常態化している一方で、特にアメリスウェールト地区の緑豊かな邸宅地や農場が広がる「ランドゴート(荘園)」エリアへの環境影響を懸念する声が強く、拡幅計画は一貫して物議を醸してきた。カレマンス・インフラ大臣(VVD)はこうした対立を調整すべく、高速道路をカバーで覆って上部を自然エリアとして活用するなど、自然保護と道路整備の両立を目指した妥協案を打ち出した。さらに、ライン川北側の結節点ライン스베ールト周辺に新たな住宅用地を確保する計画も盛り込まれていた。
しかし行政最高裁は、この計画が「ヴェルウェ」「ビンネンフェルト」「東フェフト湖水地帯」「ナールデルメール」「ニューコープセ・プラッセン&デ・ハエック」という5つのNatura 2000自然保護区に対して過大な窒素負荷をもたらすと断じた。大半の保護区はすでに窒素過多の状態にあるとも指摘されており、追加の窒素排出を認める余地はないとの判断だ。
防音強化策も「道連れ」に
計画の全面撤回で直接的な打撃を受けるのが、沿道住民の騒音環境だ。大臣が用意していた約17億8000万ユーロの予算には、法律で義務づけられた基準を上回る「法定基準超えの防音壁」設置も含まれていた。より高く、より広く、より性能の高い防音設備を備えることが計画の柱の一つだったが、カレマンス大臣はRTVユトレヒトの取材に対し、これらの上乗せ措置はすべて撤回され、予算は別のプロジェクトに充てられると認めた。
今後整備される防音壁があったとしても、それは法定最低基準を満たすにとどまる見通しだ。大臣は「ライクスワーテルスタート(国土・水管理局)が騒音に関する法的枠組みを満たす形で実施計画に組み込む」と述べるにとどめており、設置の具体的な時期は不明のままだ。
ホーフラーフェン地区の住民は「本当に残念。ぐっすり眠りたいのに」と嘆く。ハウテン側のA12沿いに住むヒール・ランヘフェルトさんは、自宅近くに立つ鉄骨製の仮囲いを指して「あれは防音壁じゃない。ただの余り物を置いただけだ」と憤る。ユトレヒト市と州も騒音対策の欠如を「非常に遺憾」と表明しているが、国の判断を覆す手段は現状ない。
オランダ全土で窒素規制をめぐる法的リスクがインフラ計画の行く手を阻む状況が続く中、ユトレヒト環状道路の問題は、環境規制と生活環境改善の板挟みに陥った現代オランダの縮図とも言える。在蘭日本人を含む沿線住民にとって、静かな夜を取り戻すまでの道のりは、依然として長い。
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情報源: NOS Algemeen




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