窒素問題で農家運動に亀裂――かつての団結はいずこへ
新たな削減計画をめぐり、農業界の内部対立が表面化
オランダの農家たちが再び街頭に出ている。政府が打ち出した新たな窒素削減計画に反発する抗議活動は数週間にわたって続いており、トラクターが幹線道路を封鎖する光景は、かつて2019〜2022年に社会を揺るがした農家運動の再来を想起させる。しかし今回は、表舞台での抗議と並行して、農業界の内部に静かな亀裂が走り始めている。
団結から分断へ――農家運動の変容
NRCの記者エンゾ・ファン・スティーンベルヘンによると、かつての農家運動は「肩を並べて戦う」姿勢で政府に圧力をかけることに成功してきた。しかし新たな窒素政策をめぐっては、農業界の内部で方針や戦略の違いが表面化してきたという。どこまで妥協を受け入れるか、政府との対話路線をとるべきか、それとも強硬な抵抗を続けるべきか——こうした問いに対する答えが、農家の間で一致しなくなっているのだ。
窒素問題はオランダにとって長年の政治的難題だ。畜産業などから排出される窒素化合物が、EU指令で保護された自然保護区(Natura 2000)の生態系を破壊しているとして、オランダ政府は農家に対して排出量の大幅削減を義務づける方針を繰り返し示してきた。2022年には一部地域で最大70〜80%の窒素排出削減を求める目標値が示され、廃業を迫られる農家が続出するとの懸念が広がった。その後、政策は修正を重ねながらも、根本的な対立構造は解消されないまま今日に至る。
分裂が問う、運動の実効性
今回の内部対立が注目される理由は、農家運動の「力の源泉」が団結にあったからだ。数千台のトラクターが一斉に首都アムステルダムやハーグに向かう姿は政治的に強力なメッセージとなり、一時は与党連立の政策転換すら引き出した。しかしその運動体が内側から割れるとすれば、政府との交渉における農業界の発言力は低下する可能性がある。対話派と強硬派の間の溝が広がれば、政策決定の場で農家側の声が分散し、政府にとっては「各個撃破」しやすい状況が生まれかねない。
在蘭日本人の日常生活という観点では、窒素規制の行方は食料品の価格や流通にも間接的な影響をもたらしうる。オランダは世界有数の農産物輸出国であり、酪農や畜産の構造変化は乳製品や食肉の価格動向にも波及する。政府と農業界の対立がどのような着地点を見つけるのか、あるいは見つけられないのか——その行方は、オランダ社会全体の問題として引き続き注視が必要だ。
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情報源: NRC



