不動産仲介業者への苦情が900件超——公正な売買ルールの法制化を求める声が高まる
業界の自主規制では限界、政府・議会も動き始めた
住宅市場が過熱するオランダで、不動産仲介業者への不満が再び表面化している。住宅所有者協会「Vereniging Eigen Huis(VEH)」は、今年2月に再開した苦情窓口に900件を超える申告が集まったと発表した。5年ぶりに窓口を再開した背景には、「住宅の売買が常に公正かつ透明に行われていないという継続的なシグナル」があったと協会は説明する。
入札後の不正操作、圧力、不透明な査定
寄せられた苦情の内容は多岐にわたる。最も深刻なのが、入札締め切り後に仲介業者が追加入札を受け付けるという事例だ。ある申告者のReneeは、正規の入札手続きを通じて期限内に入札したにもかかわらず、後になって「ぎりぎり上回られた」と告げられた。入札記録(biedlogboek)を取り寄せると、締め切り後に仲介業者が入札を登録していたことが判明したという。「最終的な売買価格は、買い手と売り手が直接交渉して決めたと説明された」とReneeは語る。
別の申告者Jeroenのケースも象徴的だ。26万5,000ユーロで入札したところ、仲介業者から「最高額ではないが条件は最良だ。1万ユーロ上乗せすれば物件はあなたのもの」と電話があった。Jeroenは応じなかったが、後に入札記録を確認すると、自分を上回る入札は存在していなかった。「騙され、圧力をかけられたと感じた」と彼は振り返る。
自主規制への限界と法制化の要求
2023年から大半の仲介業者に義務付けられた入札記録制度は、透明性向上を目的として導入されたが、実態として記録を受け取れない入札者が多く、受け取ったとしても取引が公正に進んでいないと感じる消費者が後を絶たない。
最大の仲介業者団体NVMは苦情窓口の再開を歓迎しつつ、今年2月から独自の「透明な入札プロトコル」を全NVM加盟業者に義務付けたとしている。しかしVEHはこうした業界の自主規制では不十分だと断言する。VEHのCindy Kremer事務局長は「買い手と売り手がプロセスの公正性と透明性を信頼できるよう、法的ルールが必要だ。違反には実質的な制裁が伴う、監督と執行の仕組みが不可欠だ」と訴える。
中小仲介業者団体のVastgoed Nederlandも法制化を支持する立場だ。「売買慣行を厳しく規制するのは政府の役割であり、それが買い手のためになる。入札中にルールが変えられるという苦情も聞いており、まさにそれが問題の核心だ」と同団体のTristan Bonsは指摘する。ただしBonsは、VEHの窓口に申告が集中することで、業界側の苦情窓口が情報を把握しにくくなっていることへの懸念も示した。
議会・政府の動向と在蘭日本人への影響
政府はすでに複数の規制オプションについて調査を進めており、議会でもPVV所属のJeremy Mooiman議員が議員立法の準備を進めている。法制化が実現すれば、入札プロセスの透明化や違反業者への制裁が法的に担保されることになる。
オランダで住宅購入を検討している在蘭日本人にとっても、この動向は無関係ではない。入札手続きの不透明さは、言語や商慣行に不慣れな外国人居住者にとって特にリスクが高い。法制化の行方と入札記録の請求権をしっかり把握しておくことが、自衛の第一歩といえるだろう。
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情報源: NOS Algemeen


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