予算案合意は難航、内閣は「小粒合意」の積み重ねで乗り切りへ
プリンセスダフ(予算日)を前に、野党の苛立ちと悲観論が広がる
オランダの少数与党内閣が、今年の予算編成をめぐる政治的な正念場を迎えている。毎年9月の第三火曜日に行われる「プリンセスダフ(Prinsjesdag/予算日)」に向け、内閣は野党の支持を取り付けなければ予算案を成立させることができない。しかし交渉の現場で広がっているのは、合意への期待感ではなく、苛立ち・悲観論・不満という言葉で表されるムードだ。
野党の支持取り付けに失敗、「大型合意」は遠のく
少数内閣が安定した政権運営を行うためには、本来であれば野党との包括的な協力関係——いわゆる「totaaldeal(大型合意)」——を結ぶことが理想とされる。ところが現状では、内閣側の働きかけは野党の歓心を買うどころか、むしろ反感を生む結果となっている。複数の野党関係者からは「話し合いにならない」「誠意が感じられない」といった声が上がっており、交渉の雰囲気は険悪だ。与党が野党をなだめる(paaien)立場にあるにもかかわらず、得られているのは不満ばかり、という皮肉な状況が続いている。
戦略転換——「小粒合意」を積み重ねる現実路線へ
大型合意が見込めない中、内閣が軸足を移しているのが「mini-akkoordjes(小粒合意)」と呼ばれる戦略だ。予算全体を一括して通すのではなく、個別の政策テーマごとに異なる野党と個別の合意を結び、課題ごとに賛成多数を確保するという現実路線である。一見、柔軟な対応に見えるが、この手法は交渉コストが高く、予算案全体の整合性を保つことが難しいという弱点もある。
問題は時間だ。プリンセスダフまでの日程を逆算すれば、各省庁が予算案を最終確定させる期限はすでに迫りつつある。大型合意を諦めて個別交渉に切り替えたとしても、それぞれをまとめ上げるのに十分な時間が残されているかどうかは定かではない。
在蘭日本人にとっての意味
今回の予算交渉の行方は、社会保障・税制・住宅政策など、オランダに暮らす人々の生活に直結するテーマを含んでいる。予算案が十分な支持を得られずに修正を繰り返せば、制度変更の時期や内容が流動的なまま年末を迎える可能性もある。オランダに在住する日本人にとっても、税制や社会サービスに関わる政策の動向は無関係ではない。政権の安定性という観点からも、今後の交渉の進展を注視しておく価値があるだろう。
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