少数与党内閣、プリンセスデーまでに予算合意なるか――2週間の攻防
イェッテン首相は「左から右まで幅広い支持」を掲げるが、野党の要求は真っ向から対立
オランダの少数与党内閣(D66・VVD・CDA連立、ロブ・イェッテン首相)は今、きわめて短い時間的制約のなかに置かれている。毎年9月第3火曜日のプリンセスデー(今年は9月15日)までに、野党の支持を取り付けた予算案を仕上げなければならないからだ。残り約2週間という期限は「前例がないほど厳しい」と関係者の多くが口をそろえる。
経済見通しは”最悪でなかった”
交渉開始の号砲となったのが、中央計画局(CPB)が先週公表した経済予測だ。イランとの戦争という地政学リスクを抱えながらも、オランダ経済は今後数年間の成長が見込まれるという、やや安堵できる内容だった。財務相のエルコ・ハイネンは「予想より悪くはなかったが、楽観できるわけでもない」と評しつつ、国家債務をこれ以上膨らませてはならないという姿勢を繰り返し強調している。来年の購買力が低下するという見通しも示されており、社会保障をめぐる議論はいっそう敏感になりそうだ。
内閣はこれまで、自己負担上限引き上げなど主要な政策論争を「棚上げ」にしたまま、各党が交渉に応じる意志があるかどうかを打診するにとどまっていた。CPBの数値を待たずに本格交渉を始めても、試算が崩れれば白紙に戻るリスクがあるという判断からだ。夏季休会明けの今週、ようやく本格的な協議がスタートする。イェッテン首相と副首相2人(ディラン・イェシルギョスとバルト・ファン・デン・ブリンク)は、まずProとJA21と月曜日に会い、続いてSGP、ChristenUnie、50Plus、Voltとも順次テーブルを囲む予定だ。
「左か右か」迫られる選択
最大の難関は、野党各党の要求が真逆であることだ。左派のProを率いるジェシー・クラーバーは社会保障削減の撤廃と富裕層への課税強化を訴え、「このままでは壁に突き当たる」と警告を発する。一方、右派のJA21はCDAが導入を進める「自由貢献金(vrijheidsbijdrage)」の引き下げなど減税路線を主張しており、両者の政策的距離は縮まる気配がない。
上院(Eerste Kamer)での多数派形成には農業政党BBBの協力が事実上不可欠だが、BBBは内閣の窒素排出規制政策が撤回されない限り交渉に応じないとしており、イェッテン首相の「全員歓迎」という姿勢とは大きなギャップがある。右派ブロックの結束を呼びかけるグループ・マルクスゾウワーの動きも出ているが、JA21が「独自路線」を表明するなど、連携は容易でない。首相自身は合意の可能性を「かなり高い」と語っているが、その根拠は今のところ楽観論の域を出ない。
期限を逃した場合のリスク
万一9月15日までに合意が得られなければ、内閣が単独で予算案と税制改正法案を作成・提出するという選択肢も残っている。ただしこれは諸刃の剣だ。11月には下院での税制法案の採決が控えており、協議が決裂した状態では野党が内閣に協力する動機を失いかねない。少数与党という構造的な弱さをかかえる現内閣にとって、今後2週間の交渉は政権の命運を左右する正念場となる。在蘭の日本人にとっても、来年の購買力低下や社会保障の見直しは生活に直結しうる話題であり、交渉の行方を注視しておく必要があるだろう。
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情報源: NOS Algemeen



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