PMがAIで偽市民意見を大量生成、オランダ広告審査機関が厳重注意
EUたばこ規制強化に反対するデジタル世論工作に初の制裁判断
たばこ大手フィリップ・モリスが、AI(人工知能)を使って欧州委員会の意見公募に大量の偽「市民コメント」を送り込んでいたことが明らかになった。オランダの広告審査機関RCC(Reclame Code Commissie)は、この行為がオランダのたばこ広告禁止規定に違反すると認定し、同社を厳重注意した。デジタルを舞台にした組織的なロビー活動に広告規制が適用された判断として、欧州全体で注目を集めている。
「あなたの声、あなたの選択」——黄色いポスターの裏側
EUは現在、15年ぶりとなる大規模なたばこ規制強化の準備を進めており、電子たばこや加熱式たばこを含む代替製品への規制も対象に含まれる。こうした製品はフィリップ・モリスの売上高の約40%を占めており、同社にとって規制の行方は経営の根幹にかかわる問題だ。
同社はたばこ販売店に「Your Voice Your Choice(あなたの声、あなたの選択)」というスローガンを掲げた黄色いポスターを掲示し、QRコードから特設ツールへ誘導した。消費者がツール上で選択式の質問に答えると、一人称の意見文が自動生成され、そのまま欧州委員会に送信できる仕組みだった。このテキスト生成ツールはフィリップ・モリスが費用を負担し、所有していた。
放送局NOSと調査報道プラットフォームPointerの共同調査によると、オランダから欧州委員会に送られた意見のうち約71%がAI生成であったと判明した。この比率はポルトガルに次いで欧州第2位の高さだ。
RCCの判断と法的な意味合い
フィリップ・モリスは「公開討議への貢献」であると主張したが、RCCはこれを退けた。「意見が公開協議への呼びかけとして位置づけられていることは、その商業的性格を損なうものではない」と同機関は明言。生成されたテキストが代替たばこ製品を肯定的に描写している点も、広告に該当すると判断された。
6月には医師グループや医療団体がRCCに正式な苦情を申し立てていた。これらの団体を代理する弁護士のラウラ・ファン・ヘイン氏はNOSの取材に対し、「たばこ広告禁止の違反は刑事犯罪にあたる」と述べたうえで、「今回の決定は、デジタル影響力キャンペーンが市民参加の形式に包まれていても広告禁止の範囲外にはならないという明確なシグナルだ。この先例は欧州各地の類似キャンペーンにも関係する」と語った。
在蘭日本人・欧州社会への含意
今回の事例が示すのは、企業によるAIを活用した世論工作が、既存の広告規制の枠組みで問われうるという現実だ。特にEUが規制強化の意見公募を実施する際、組織的なAI生成コメントによって民意が歪められるリスクは、今後も続くと見られる。オランダ在住者にとっても、日常的に目にするQRコード付きのキャンペーンポスターが、どのような主体によって運営されているかを意識する必要性が高まっている。フィリップ・モリスへの今回の制裁が、欧州各国の規制当局や立法者にどう波及するか、引き続き注目される。
広告掲載にご興味のある方は こちら
情報源: DutchNews



/https://content.production.cdn.art19.com/images/2e/d0/18/ab/2ed018ab-e157-4212-9f27-910ee353f0e1/91502b4bd0fde49ef44f4d5a3d8bc772ebc052dc6a2a3fea3f1473035e78fa243366aaf45d3376d959c28075262335c58da6cf79c1cf6890be2ee46354818675.jpeg)