建築許可は増加も住宅建設は依然停滞——許可と着工のギャップが深刻化
人手不足・コスト高騰・窒素規制の三重苦、ING Researchが警鐘
オランダで新築住宅の建築許可件数が大きく伸びている。数字だけを見れば、慢性的な住宅不足の解消に向けて前進しているように映る。ところが、ING Researchが公表した最新レポートは、許可件数の増加が実際の住宅供給増には直結していないという厳しい現実を突きつけた。許可を取得しても「建てられない」状況が続いており、そのギャップはむしろ拡大している。
建設を阻む「三重苦」
レポートが指摘する障壁は大きく三つある。第一に深刻な人手不足だ。オランダの建設業界では熟練労働者の確保が長年の課題であり、許可件数が増えても現場を動かす担い手が足りない。第二に建設コストの高騰。資材価格や人件費の上昇により、採算が取れずにプロジェクトを凍結するデベロッパーも相次いでいる。第三が窒素排出規制(スティクストフ問題)だ。オランダ独自の厳格な環境規制により、建設工事が引き起こす窒素排出量が基準を超えるとして着工許可が下りないケースが後を絶たない。この三つが複合的に重なることで、許可件数と実際の着工・完工数の乖離が深刻化している。
住宅不足がさらに悪化するリスク
オランダでは以前から住宅供給不足が社会問題となっており、特にアムステルダムやロッテルダムなどの大都市圏では賃貸物件の競争が激化している。政府はここ数年で大規模な住宅建設を目標に掲げ、許可手続きの効率化を進めてきた。しかし、ING Researchのレポートが示すように、許可件数の増加はあくまでパイプラインの入口が広がったにすぎず、出口にあたる完成戸数が追いつかなければ、市場への効果は限定的だ。このままの状況が続けば、住宅市場へのさらなる圧力は避けられないと同レポートは警告している。
在蘭日本人への影響
住宅建設の停滞は、オランダに暮らす日本人にとっても他人事ではない。新規供給が増えなければ賃貸物件の需給は引き続き逼迫し、家賃相場の高止まりや契約競争の激化が続く可能性が高い。住宅購入を検討している場合も、供給不足による価格下支えが続くことが予想される。建築許可という「入口」と住宅完成という「出口」のギャップが埋まるまでには、規制緩和・労働力確保・コスト安定化という複数の課題を同時に解決する必要があり、短期的な改善は見込みにくい状況だ。
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情報源: NU.nl
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