余剰太陽光電力の自己販売、制度の壁で普及遠く
ネットメタリング廃止を前に「エネルギーシェアリング」が注目されるも、規制の複雑さが壁に
オランダ政府は来年、太陽光発電の余剰電力を電力会社に実質的に買い取らせる「ネットメタリング(saldering)制度」を廃止する方針だ。この制度はこれまで、自宅の太陽光パネルで発電した電力のうち使い切れなかった分を電力網に送り、その量を電力料金から差し引くかたちで実質的に補填するものだった。廃止後は余剰分の経済的メリットが大幅に縮小するため、太陽光パネルを設置する家庭の投資回収が難しくなるとの懸念が広がっている。
「近隣で電力を融通」という代替案
こうした状況の中、注目を集めているのが「エネルギーシェアリング(energiedelen)」と呼ばれる仕組みだ。太陽光パネルを持つ家庭が発電した余剰電力を、近隣の家庭に対して市場価格よりも安い価格で直接販売できるというモデルで、売り手・買い手の双方にメリットがあるとされる。パネルを持つ家庭は捨てていた余剰電力から収入を得られ、パネルを持たない住民は電力会社よりも安価に電気を購入できる。エネルギー貧困対策としても一定の効果が期待されており、政策的な関心は高い。
複雑な規制が普及を阻む
しかし現実は厳しい。現行の規制が非常に複雑で、実際にエネルギーシェアリングに取り組む事業者や個人はほとんど存在しないのが実態だ。電力の「販売」には事業者登録や計量・請求に関する煩雑な手続きが伴い、個人や小規模の地域コミュニティには参入障壁が高すぎるという声が相次いでいる。制度設計そのものを簡素化しなければ、ネットメタリング廃止後の現実的な代替手段にはなりえないとの指摘が、業界関係者や消費者団体から上がっている。
在蘭日本人への影響
オランダに暮らす日本人の中にも、すでに太陽光パネルを自宅に設置している家庭は少なくない。ネットメタリングが廃止されると、余剰電力の買い取り価格は実質的に大幅に下がるため、パネル設置の経済的メリットを再計算する必要がある。エネルギーシェアリングが普及すれば状況は改善しうるが、それには制度の抜本的な見直しが不可欠だ。政府や議会がこの問題にどう対応するか、今後の動向を注視したい。
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