長期貧困者への給付金、自治体間で最大1,000ユーロの格差
居住地によって異なる「個人所得手当」の不均衡な実態
オランダでは、3年以上にわたって貧困状態にある住民を支援するための「個人所得手当(Individuele Inkomenstoeslag、以下IIT)」という制度が存在する。しかし、この給付額が住んでいる自治体によって大きく異なることが、NU.nlの報道で明らかになった。隣接する自治体同士でさえ、最大1,000ユーロの差が生じているケースがあるという。
自治体任せの運用が生む格差
IITはもともと、長期的な低所得者の生活を下支えするために設けられた国の制度だ。しかし、その具体的な給付額の設定や運用は各自治体に委ねられている。このため、同じ条件を満たす住民であっても、どの自治体に住んでいるかによって受け取れる金額が大きく変わってくる。制度の趣旨は全国共通でも、実態は自治体ごとに異なる「パッチワーク状」の支援体制になっているといえる。
低所得状態が長期化すればするほど、生活の立て直しは難しくなる。IITはそうした状況への一定の歯止めとして機能することが期待されているが、給付額に大きな格差があれば、制度本来の平等な支援という目的が損なわれかねない。専門家や支援団体からは、自治体間の裁量格差を是正するための統一基準を求める声が上がっている。
在蘭日本人にとっての意味
オランダに在住し、何らかの事情で長期的に低所得状態に置かれている日本人にとっても、IITは無縁の制度ではない。受給資格は原則として3年以上の低所得状態にあることが条件であり、オランダに合法的に居住し、社会保障制度に加入していれば申請できる場合がある。
ただし、今回明らかになったように、居住する自治体によって受け取れる金額が大きく異なる点には注意が必要だ。引っ越しや転居を検討している場合には、移転先の自治体がIITをどのような水準で設定しているかを事前に確認しておくことが、生活設計上の重要な判断材料になり得る。自治体の窓口(gemeente)やオランダ語の公式サイトで各自治体の給付水準を調べることが可能だ。
この問題はより広く、オランダの社会保障制度における「郵便番号格差」という根深い課題を改めて浮き彫りにしている。国として制度を設けながら運用を自治体に丸投げする構造は、IITに限らず様々な支援制度で繰り返されており、政策の見直しを求める議論は今後も続きそうだ。
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情報源: NU.nl



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