大陸間フライトにもCO2課金を——EU、航空排出規制の拡大案を提示へ
ホークストラ委員が抱える「頭痛の種」、業界と環境団体が真っ向対立
アムステルダムからバルセロナへ飛ぶ際、航空会社はCO2排出量に対して料金を支払う義務がある。しかし、同じアムステルダムから北京やニューヨークへ向かう便には、その義務が存在しない。この非対称な仕組みを見直そうとするのが、欧州委員会が今週金曜日に提示する予定の新提案だ。オランダ出身の気候担当委員ウォプケ・ホークストラが担当するこの案件は、航空業界、環境団体、そして主要貿易相手国を巻き込む複雑な交渉へと発展しつつある。
ブリュッセルで激化するロビー合戦
欧州委員会の建物のすぐ向かいには、Air France-KLM、ルフトハンザ、エアバスなどを代表する業界団体「ヨーロッパ航空会社連合(A4E)」のオフィスが構えている。その数ブロック先には、排出ゼロの交通システムを訴える環境シンクタンク「Transport & Environment(T&E)」が拠点を置く。両者は連日、欧州委員会に対してそれぞれの主張を訴え続けている。
A4Eのウラニア・ゲオルグツァク事務局長は「毎日積極的に働きかけている。それが私たちの仕事だ」と率直に語る。一方、T&Eの航空政策担当ヴィンセント・デ・ハースは「先週末も委員会と連絡を取り、提案がどんな影響をもたらすか説明した」と明かした。業界側は競争力の低下と航空券価格への転嫁を最大の懸念として挙げる。欧州の航空会社がコスト増を抱える一方、湾岸諸国やアジアの航空会社が規制を免れれば、乗客はEU域外の空港での乗り継ぎを選ぶようになるという論理だ。
2012年の「前例」と世界システムの限界
EUが大陸間便への課金を断念したのは今回が初めてではない。2012年、EUは米国と中国からの強い反発を受けて、当初予定していた国際線への排出量取引制度の適用を棚上げにした経緯がある。その代わりとして国際民間航空機関(ICAO)主導のグローバルな排出削減スキームが設けられたが、中国と米国はいずれも自国法への組み込みを行っておらず、実効性は乏しいままだ。
この状況を受け、欧州委員会は再び独自の規制強化に動き始めた。ただし、全ての国際便を対象とすれば外交摩擦は避けられない。あるEU当局者は「トランプ大統領に米国の航空会社がEUの排出量枠を購入しなければならないと誰が伝えるのか」と述べ、その政治的難しさを「外交的に決して小さな問題ではない」と表現した。
妥協案と今後の見通し
こうした複雑な事情を踏まえ、欧州委員会が検討しているのは折衷的な解決策だ。具体的には、大陸間フライトのうちEU空域内を飛行する区間のみにCO2課金を適用する案が有力視されている。完全な課金拡大に比べて業界や貿易相手国の反発を抑えつつ、一定の環境効果を確保しようとする狙いがある。T&Eのデ・ハースは「現状では欧州航空の排出量の3分の2が課金の対象外だ。大陸間便を対象に加えれば、得られた収益を持続可能な航空燃料の開発などに投資できる」と拡大の必要性を訴える。
ホークストラ委員が金曜日に示す提案は、欧州排出量取引制度(ETS)全体の見直し策の一部として位置づけられる。提案後はEU加盟国と欧州議会での政治交渉が始まり、最終的な制度変更の内容と時期はなお不透明だ。オランダを拠点とするKLMを傘下に持つAir France-KLMにとっても、そしてアムステルダム発着の国際便を日常的に利用する在蘭日本人にとっても、この交渉の行方は航空運賃に直結する問題として注目に値する。
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情報源: NOS Algemeen

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