タタ・スチール、有害土壌浄化命令で四面楚歌——法的・政治的圧力が一気に高まる
汚染スラグ83万5000トンの爪痕、IJmuidenに残る
オランダ北部の製鉄都市IJmuidenを抱えるタタ・スチールが、かつてないほどの苦境に立たされている。北海運河地区環境機関(OD NZKG)は今週、同社のIJmuiden工場敷地の一角に対し、汚染土壌の掘削と清潔な土砂への置き換えを正式に命じた。長年の製鉄操業が周辺の土壌と地下水を蝕んでいたことが、あらためて公式に認定された形だ。
83万トンのスラグが残した傷跡
問題の発端は、2018年以降にVelsen-Noord地区のMergelkadeに野積みされた約83万5000トンの製鉄スラグだ。スラグとは製鉄工程で生じる残滓で、かつては道路の路盤材として広く利用されていた。しかし2024年にOD NZKGが実施した調査により、有害物質が土壌と地下水へ浸透していた事実が明らかになった。タタ・スチールは機関の指示を受け、2025年11月までにスラグ本体をバルト三国への船送りや敷地内仮置きで撤去済みだ。だが地面の下に残る汚染は依然として深刻であり、今回の命令によって本格的な掘削・置換作業が課された。なお、スラグの路盤材への転用は浸透リスクを理由に、2025年7月から全国で一時禁止されている。
法的・政治的圧力が同時多発
土壌浄化命令は、タタ・スチールを取り巻く数々の問題の一つにすぎない。先週には検察当局が、同社が故意に違法な汚染物質を排出したとして刑事訴追する方針を表明した。さらに政府がかねて検討してきた20億ユーロ規模の支援パッケージについても、内閣は現時点では実施が不透明であると明言しており、同社の財政的な見通しは一段と不確かになっている。加えて、健康被害や周辺住宅の資産価値下落を訴える地域住民が集団訴訟を起こしており、その請求額は約14億ユーロに達する。
在蘭日本人・オランダ社会への含意
タタ・スチールのIJmuiden工場はオランダ最大の鉄鋼生産拠点であり、数千人規模の雇用を支える存在だ。今回の一連の問題は、工場周辺に暮らす住民の健康リスクにとどまらず、欧州の産業政策や環境規制の観点でも広く注目を集めている。政府支援の行方と刑事手続きの進展は今後数カ月で大きく動く可能性があり、オランダ社会の鉄鋼業の将来像にも直結する問題として引き続き注視が必要だ。
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情報源: DutchNews



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