動物党、宗教的儀式屠殺への麻酔義務化法案を15年ぶりに再提出
国務院の肯定的評価を追い風に、下院で多数派形成を目指す
オランダ動物党(Partij voor de Dieren、PvdD)は、宗教的な儀式屠殺を含むすべての屠殺において、事前の麻酔を義務付ける法案を下院(Tweede Kamer)に提出した。イスラム教やユダヤ教の戒律に基づく「麻酔なし屠殺」の是非をめぐる議論は、オランダ社会で長年くすぶり続けてきたテーマだ。同党が同様の法案を提出するのは15年ぶりとなり、今回は法的根拠を整え直した上での再挑戦となる。
法案の内容と宗教的自由との衝突
今回の法案は麻酔義務化にとどまらず、屠殺における動物の苦痛を軽減するための複数の措置を盛り込んでいる。豚に使われるCO2麻酔や、鶏・アヒル・七面鳥への電気水浴麻酔の廃止も求めており、さらに出産間際の高齢妊娠動物の屠殺場への輸送禁止も含まれる。加えて、家禽類をコンテナに入れたまま無麻酔で輸送し、ベルトコンベアーに流す慣行の廃止も訴えている。
イスラム教およびユダヤ教の戒律では、屠殺前の麻酔は認められていない。このため禁止措置は「信教の自由の制限」にあたるとされ、15年前の法案は上院(Eerste Kamer)で「信教の自由が動物の苦痛より優先される」として否決された経緯がある。動物党はこれを踏まえ、慎重に法的論拠を再構築してきた。なお、農業国務長官のErkens氏によれば、犠牲祭(Offerfeest)における屠殺の約3分の2はすでに麻酔が行われているという。
国務院の支持と議会の行方
今回の法案提出にあたって注目されるのが、国務院(Raad van State)による概ね肯定的な評価だ。国務院は法案の法的整合性を審査する機関であり、その支持は前回の否決後に積み上げてきた動物党の取り組みが実を結んだ形といえる。また、農業国務長官のErkens氏も今月「個人的に」禁止を支持すると表明しており、政府内にも追い風が吹く。
下院では原則として賛成多数の見通しだが、宗教的感情に配慮が必要なテーマだけに、各会派が法案の文言を慎重に精査したい意向を示している。上院での再否決の可能性も排除できず、最終的な成立には依然として不透明感が漂う。
在蘭日本人への影響と社会的含意
日常的にハラール認証食品を利用する機会も多いオランダ生活において、この法改正は食品流通にも影響しうる。仮に法案が成立すれば、ハラール・コシャー食品の生産体制や輸入規制のあり方が変わる可能性があり、市場動向を注視する必要がある。信教の自由と動物福祉という二つの価値をどう折り合わせるか——オランダ社会が問い続けてきたこの問いに、議会が今度こそ一つの答えを出せるかが問われている。
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情報源: NOS Algemeen



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