メインコンテンツへスキップ
オランダ政府、公務員2.5万人削減へ――「小さく賢い政府」へ35億ユーロ歳出削減計画
政治・行政 読了 2分

オランダ政府、公務員2.5万人削減へ――「小さく賢い政府」へ35億ユーロ歳出削減計画

税務署や刑務所管理局など行政執行機関に削減が集中、組織によっては最大60%減も

この記事をシェア ✓ コピーしました

オランダ政府は今後数年間で、国家公務員のフルタイムポストを約2万5,000件(平均約20%)削減し、総額35億ユーロを節約する計画をまとめた。国務長官エリック・ファン・デル・ブルフ(VVD、担当:効果的な政府運営)が議会下院に提出した進捗書簡で明らかになったもので、同氏は「かなりの難題」と率直に認めている。政府はこの改革を通じ、「よりシンプルで、よりスマートで、より小さな政府」の実現を目指すとしている。

行政執行機関に集中する削減の波

削減の大部分が向かうのは、政策を実際に市民や企業へ届ける行政執行機関だ。税金を徴収する税務署(ベラスティングディーンスト)や、刑務所を管理する刑事施設管理局(DJI)などがその代表例で、組織によっては最大60%のポスト削減となる可能性も示された。これまでオランダ政府は、市民と直接接する執行部門を歳出削減の対象から外す方針をとってきたが、今回の計画ではその原則が明確に転換された。ファン・デル・ブルフ国務長官は書簡の中で「公務員の大半が執行部門に勤めている以上、削減の大部分がそこに及ぶのは避けられない」と説明している。国家会計検査院(アルゲメーネ・レーケンカーメル)はかねて、この規模の削減には政府がどの政策を継続し、何を切り捨てるかについて「困難な選択」を迫られると指摘していた。なお、軍と警察は今回の削減対象から除外されている。

規制廃止・デジタル化・働き方の見直し

コスト削減は人員だけにとどまらない。政府は毎年最低500件の規制を廃止または簡素化する義務を課す方針で、その半数は市民・専門職向け、残り半数は企業向けとされる。経済団体VNO-NCWや中小企業組織MKB-Nederlandとも協力して規制を洗い出すという。また庁舎内のワークスペースについては、将来的に職員2人に対し1席という基準に縮小する計画で、ITや施設サービス(カフェテリア・警備など)の共同調達による内部コスト削減も盛り込まれた。

情報公開法(Wet open overheid)の見直しも検討されており、文書開示対応に費やす行政コストの圧縮を図る。ただし具体的な改革案は2027年以降に持ち越される見通しだ。AIの活用についても議論が浮上しているが、ファン・デル・ブルフ氏は慎重な姿勢を崩さない。過去の電子化推進が「新たな業務、人員増、外部委託の拡大」を招いた教訓を挙げ、「AIは万能薬ではない」と警告した。具体的なAI活用策は来年初めに示される予定だ。

オランダ社会・在住日本人への影響

2018年以降に46,500人以上(40%超)膨らんだ公務員組織をスリム化するこの計画は、オランダ社会全体に広く影響を及ぼしうる。税務署や各種許認可機関の処理能力が低下すれば、市民や企業の手続きに遅延が生じるリスクがある。在蘭日本人にとっても、ビザ更新や納税申告、各種手当の申請など、行政窓口への依存度は低くない。ファン・デル・ブルフ氏は書簡の末尾で「政治家にも官僚にも、困難な選択を提示し決断する勇気が求められる。個々の利益を超えて見渡し、より多くのリスクを受け入れ、すべての失敗を厳しく罰しないことが必要だ」と記しており、改革の実行には政治的な意志と社会的な理解の双方が試されることになる。

情報源: NRC

この記事をシェア ✓ コピーしました

📩 無料メールニュース

明日のオランダニュースも、メールで読みませんか?

毎朝、その日のニュース要約と音声版(ポッドキャスト)が
メールで届きます。無料です。

無料で購読する

関連ニュース