ロングコビッド専門センターの予算削減に医師・患者が猛反発
ガイドライン未整備のまま「かかりつけ医へ移行」は時期尚早と4医師団体が警告
オランダのソフィー・ヘルマンス医療相が、ロングコビッドおよびME(筋痛性脳脊髄炎)・Q熱などを診る専門医療センターへの公的支援を大幅に縮小し、診療の主体をかかりつけ医(ヒュースアルツ)に移す方針を示した。これに対し、開業医・医療専門家・研究者が一斉に反発し、4つの主要医師団体が連名で大臣に書簡を送るという異例の事態に発展している。ハーグでは患者団体による抗議デモも行われ、政府の方針転換を求める声が高まっている。
「ガイドラインなき移行」への根本的な疑問
問題の核心は、診療ガイドラインがいまだ整備されていない段階で「かかりつけ医への移行」を進めようとしている点にある。医師は原則として、科学的根拠と医療指針が確立された治療しか提供できない。4団体の書簡では、ガイドラインなしに患者を受け入れれば「患者の期待に応えられず、信頼関係が崩壊するリスクがある」と明記されている。
フナイク大学ネットワーク理事で開業医のヘドウィヒ・フォス氏は「一部の医師はすでに知識を持ち、より多くのケアを提供できるが、大半はそうではない。この不均衡こそが医療格差を生み、患者の信頼を根底から損なう」と述べる。8か所の専門センターへの共同予算は年間わずか100万ユーロに削減される見込みで、研究・教育・複雑症例へのサポートという三つの基本機能を維持するには到底不十分だと、センターの医師たちも認めている。
研究資金の「構造的な穴」
こうした事態の背景には、オランダにおける研究投資の構造的な問題がある。前ルッテ内閣は3年前にロングコビッド研究に4000万ユーロを投じたが、プロジェクトの期間が短く、成果が出る前に資金が尽きてしまうという悪循環が続いている。研究者が他分野へ流出し、蓄積された知見まで失われかねない状況だ。
ドイツは今後10年間で5億ユーロをロングコビッド研究に投資する計画を持つ。この差は単なる規模の問題にとどまらず、長期的な研究継続への姿勢の違いを示している。アムステルダムUMCでは実際に、より安定した職を求めてスタッフが離職し、新患の受け入れを停止せざるを得ない状態に陥っている。健康評議会(ヘゾントハイツラート)や省の評価チームはそろって「専門センターへの早急かつ大規模な投資と長期研究プログラムの策定」を勧告しているが、大臣は研究機関ZonMwに優先研究領域の選定を先行させる姿勢を崩していない。
患者が突きつける「失われた時間」
「また同じことが繰り返されている」——MEを患うカールレイン・ケイゼルさんはそう語る。健康評議会が2018年にMEの専門センター設置を勧告したにもかかわらず、当時の政府はこれを無視。パンデミック開始から4年が経ってようやく資金が手当てされ、専門センターが開設されたのは2年前のことだ。それがいま再び削減の対象となっている。
ヘルマンス大臣の方針通りに進めば、新たな大規模研究が始まるまでに2〜3年、そこから成果が得られるまでにさらに数年かかる。在蘭日本人を含む多くのロングコビッド患者にとって、この「待機時間」は症状の悪化を意味しうる。医療費をカバーする基礎保険パッケージへの治療の組み込みも、科学的根拠が揃わなければ前進しない。専門センターの存続と研究資金の継続は、個々の患者の治療機会に直結する問題だ。
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情報源: NOS Algemeen




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