スタートアップを育てたいなら支援せよ――オランダ経済相、EU規制緩和をブリュッセルで直訴
ヘルベルト経済相がEU首脳に訴えた「足かせ」規制の撤廃要求
オランダのヘレーン・ヘルベルト経済相(CDA)は木曜日、ブリュッセルでEU当局に対し、政府による有望なスタートアップへの支援を妨げている規制の撤廃を強く求めた。「スタートアップを育てたいと言うならば、実際に支援できる環境を整えるべきだ」というのが、ヘルベルト経済相のメッセージだ。オランダ政府としてスタートアップ・エコシステムの強化を国家的な重要課題と位置づける中、EU規制という「足かせ」を外す必要性を正面から訴えた形だ。
何が問題なのか――EU規制が阻む「官民連携」
現行のEU規則は、各国政府が特定の民間企業、とりわけ成長初期のスタートアップに対して資金援助や優遇措置を直接提供することを厳しく制限している。これは主に、市場競争をゆがめる「国家補助(State Aid)」を防ぐための枠組みに基づくものだ。ヘルベルト経済相は、こうした規制が本来の目的を超えて、政府が有望な国内スタートアップを支援する機会そのものを奪っていると指摘する。欧州が米国や中国との技術競争で後れを取る中、加盟各国が機動的に自国のイノベーション企業を後押しできない状況は看過できないという立場だ。
ブリュッセルへの直訴が意味するもの
今回の要求は、オランダ単独の利益追求にとどまらない。EU全体のスタートアップ競争力を高めるための政策議論への積極的な参加表明でもある。ブリュッセルでの交渉において、規制見直しの「早急な」実施を明確に求めた点は、オランダが単に提言にとどまらず、具体的なスケジュール感を持って変化を促そうとしていることを示している。欧州委員会はここ数年、スタートアップ振興を政策の柱の一つに掲げてはいるが、既存の競争法との整合性をいかに取るかは依然として難しい課題だ。加盟国からこうした直接的な要求が積み重なることで、政策変更の機運が高まる可能性はある。
在蘭スタートアップ・コミュニティへの影響
アムステルダムやアイントホーフェンを中心に、オランダは欧州有数のスタートアップ集積地として知られる。在蘭の日本人起業家や、オランダ企業に投資・協業する日系企業にとっても、EU規制の緩和は資金調達や事業拡大の選択肢が広がることを意味する。ヘルベルト経済相の今回の動きが実を結ぶかどうかはEU全体の議論次第だが、オランダ政府がスタートアップ支援を外交・通商政策の優先事項に据えたことは明確だ。引き続き、ブリュッセルでの交渉の行方に注目したい。
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