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ABP年金基金、欧州テック企業に3年で10億ユーロ投資へ
経済 読了 2分

ABP年金基金、欧州テック企業に3年で10億ユーロ投資へ

資本流出を防げ――域内成長企業の育成に舵を切る

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オランダ最大の年金基金ABPが、欧州の技術系成長企業への大規模投資に乗り出す。同基金はまず、欧州委員会と複数の欧州機関投資家が設立した「Scaleup Europe Fund」に2億5000万ユーロを拠出すると発表した。このファンドは、AI・量子技術・エネルギー・宇宙・医療技術といった先端分野で成長段階にある欧州企業を資金面で支援することを目的としている。

3年で10億ユーロ、域内資本の確保が狙い

ABPのハルメン・ファン・ウェイネン会長は、投資の背景をこう語る。「欧州には豊富な人材、知識、技術がある。しかし成功した成長企業が資金調達のために他の市場へ流出してしまうケースがあまりにも多い」。今回の投資は、そうした資本流出に歯止めをかけ、イノベーションや雇用を欧州域内に留める狙いがある。ABPは今後3年間で合計10億ユーロをテクノロジー分野に投じる計画で、Scaleup Europe Fundへの出資はその第一弾と位置づけられている。

スタートアップ支援組織「Techleap」の特別使節を務めるプリンス・コンスタンティン氏も歓迎の意を示した。「このような事例が増えれば増えるほど、次世代の欧州テック企業が実際に欧州で成長し続けられる可能性が高まる」と述べており、機関投資家の参加が市場全体への呼び水になることへの期待が伺える。

米国離れの流れと一致する投資方針

この決定は、ABPが昨夏から進めてきた方針転換とも軌を一にする。同基金はアメリカの国債や米テック株への投資を縮小しており、ユーロ建て国債の方が当時は魅力的と判断したことが理由の一つだという。米テック株の売却については、収益の大幅な変動リスクを回避するためと説明している。ファン・ウェイネン会長は「革新的な企業市場には魅力的なリターンの機会がある」としつつも、「加入者に良い年金を提供することが第一の責任であり、この投資はその方針に沿ったものだ」と強調した。

ASML前CEOの提言とも合致

ABPの投資方針は、ASML前最高経営責任者のペーター・ウェニンク氏がオランダ政府に示した提言とも方向性が重なる。ウェニンク氏はオランダ内閣に対し、欧州が技術開発で後れを取らないよう投資環境の整備を急ぐよう求めており、デジタル化(AIを含む)、安全保障・強靭性、エネルギー・気候技術、ライフサイエンス・バイオテクノロジーの4分野を重点領域として挙げていた。いずれもABPが今回ターゲットとする領域と重複しており、官民の問題意識が収斂しつつある様子が浮かび上がる。

在蘭日本人にとっても、この動きは無関係ではない。オランダで就労・居住する人々の多くは、勤務先を通じてABPやその他の年金基金に加入している。年金資産の運用先が欧州テクノロジー企業にシフトすることは、長期的な運用成績や将来の給付額に影響しうる変化だ。欧州の技術産業の競争力が問われるなか、巨大な年金マネーが域内育成に動き始めたことは、オランダ経済政策の方向性を示す一つのシグナルとも言えるだろう。

情報源: NOS Algemeen

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