カナダWSP、蘭アルカディス買収を断念――経営陣・従業員が独立維持を選択
今夏2度の接触も交渉入りならず、AFMへの正式提案も撤回
カナダのエンジニアリング・技術大手WSP Globalが、オランダの同業大手アルカディス(Arcadis)への買収を断念した。WSPは今夏、2度にわたってアルカディス経営陣に接触を試みたが、株式譲渡の条件について協議のテーブルにさえつくことができなかったと、同社のプレスリリースで明らかにしている。WSPは「買収は双方に利益をもたらす」との立場を変えていないものの、10月15日までにオランダ金融市場庁(AFM)へ正式な買収提案を提出するとしていた期限を撤回した。
アルカディス側が独立路線を堅守
アルカディスのCEO、ヘザー・ポリンスキー氏は、独立維持こそが「株主価値を生み出すための最も効果的な道」だと表明し、買収交渉への参加を拒否した。さらに、同社従業員が財団を通じて保有する議決権ベースで19%の株式も、経営陣の方針を支持していたことをオランダ経済紙FDが報じている。従業員持株という仕組みが、外部からの買収圧力に対する実質的な防波堤として機能した格好だ。WSPにとっては、経営陣だけでなく株主構造そのものが障壁となった。
1888年創業の歴史を持つオランダの老舗
アルカディスのルーツは、1888年創業の「ネーデルランドス・ハイデマーチャッペイ(Heidemij)」にさかのぼる。荒れ地や泥炭地、砂丘を農地や森林として整備することを目的に設立されたこの国営に近い組織は、1995年に株式上場を果たし、1997年に現在のアルカディスへと社名を変えた。今日では34,000人超を世界各地で雇用し、インフラ・建設・水・環境分野でグローバルなサービスを提供する企業へと成長している。
オランダには従業員持株や財団型の株式保有を通じて経営の安定を図る企業文化が根強く、今回のケースはその典型例といえる。在蘭日本人の視点からも、日本企業が欧州で事業パートナーや買収対象を探す際に参考となる事例だ。合理的な買収提案であっても、現地の労働者との関係や持株構造を軽視すれば交渉が頓挫しかねないことを、今回のWSPの経験は示している。
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情報源: NOS Algemeen



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