オランダの家主、スペインへ資金流出——国内賃貸市場が失うもの
コスタのアパートに向かうオランダ不動産マネーの行方
オランダで手頃な賃貸住宅を探すことは、すでに多くの人にとって容易ではない。そこへ新たな課題が加わりつつある。国内の不動産投資家たちが、オランダの賃貸物件を売却し、その資金をスペインのコスタ地方のアパートへと移し始めているのだ。NRCの記者スヨード・クルンペナールがこの資金の流れを実際に追い、「誰が恩恵を受け、誰がコストを払うのか」という問いに正面から向き合った。
なぜスペインなのか
投資家がスペインに目を向ける理由は単純だ。オランダ国内では近年、賃貸住宅に関する規制が相次いで強化されており、利回りが低下した中間賃貸セクターからの撤退を選ぶオーナーが増えている。一方、スペインのコスタ・デル・ソルやコスタ・ブランカといったリゾートエリアでは、観光需要を背景にした短期賃貸や別荘需要が堅調で、相対的に高い収益が見込める。太陽、海、そして利回り——クルンペナールの取材が示す投資家の論理は、至ってシンプルである。
オランダ政府がここ数年で打ち出した住宅政策の変更、なかでも中間賃貸価格の上限規制は、小規模な家主にとって経営を直撃した。売却を選んだオーナーの物件は一部が持ち家市場に流れる一方、賃貸として残る物件数は減少し、すでに深刻な供給不足にある賃貸市場をさらに締め付ける可能性が指摘されている。
資金の流れが描く「勝者と敗者」
クルンペナールの取材が浮き彫りにするのは、国境をまたいだ資本移動の非対称性だ。投資家にとっては合理的な選択であっても、その判断が積み重なると、オランダ国内の賃貸住宅ストックは目に見えない形で縮小していく。恩恵を受けるのはスペイン現地の不動産市場と、より高い利回りを手にする投資家側。一方でコストを負担するのは、オランダで賃貸住宅を必要としている人々——特に購入でも高額賃貸でもなく「中間層の賃貸」を頼りにしている世帯だ。
スペイン側の視点も見逃せない。コスタ地方の人気エリアでは、外国人投資家の流入が地元住民向けの住宅価格を押し上げるという問題がすでに顕在化しており、オランダからの資金もその一端を担う形になる。利益と負担が国境によって切り分けられる構造は、住宅政策を一国レベルで論じることの限界を示してもいる。
オランダ在住者への影響
在蘭日本人を含め、賃貸市場に依存して生活する外国人居住者にとって、この動きは決して他人事ではない。賃貸物件の供給減少は、物件探しの競争激化と家賃上昇圧力につながりうる。オランダ政府が規制強化によって賃貸市場の「公正さ」を取り戻そうとしている一方で、その規制が投資家を海外へ押し出すという逆説的な結果を招いていることは、政策の難しさを改めて示している。今後、国内の賃貸住宅供給をどう維持するかは、オランダ社会全体が向き合うべき問いとなっている。
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情報源: NRC



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