武装警備員が難民を護送——移送機関の越権行為に監察局が強く警告
3年前にも同様の違反、政治的タイミングにも注目集まる
オランダの受刑者移送機関DV&O(Dienst Vervoer en Ondersteuning)が、資格を持たない民間警備員(boa)を武装させてシリア人難民の強制送還フライトに同行させていたことが、法務省監察局の年次報告書で明らかになった。監察局は、DV&Oが「意図的に」権限を逸脱したと断じており、オランダの難民政策と治安管理のあり方に改めて疑問が投げかけられている。
強制送還フライトで何が起きたか
問題となったのは昨年9月に実施された、ダマスカス行きの政府チャーター便だ。このフライトにはシリア人83名が搭乗しており、難民申請を取り下げることに同意した人々に対して、帰国支援として片道航空券と現金1,000ユーロを提供する自主帰還制度のもとで実施された。シリア人を対象とするこの方式での集団送還便としては、初めての試みとなる。
フライト自体の手配は帰還支援機関DTenVが担ったが、難民を空港まで移送する任務はDV&Oの管轄だった。この移送の際、DV&Oは現金の警備も含めたセキュリティ目的で民間警備員(boa)を武装させて同行させた。しかし、boaには拘束中の被移送者に対して武器を使用する法的権限が与えられていない。本来このような任務は憲兵(軍警察)が担うべきものとされており、監察局は「もし実際に武力を行使する事態が生じていた場合、警備員が個人として法的責任を問われる恐れがあった」と警告した。監察局は一方で、フライト自体のその他の点については難民送還に関するルールに準拠していたとも述べている。
繰り返された越権行為
今回の問題を一層深刻にしているのは、これが初めての違反ではないという点だ。3年前にも、北部フローニンゲン州ホーヘフェーンの高警備難民センターにおいて、法的根拠のないままboaが収容ルールの執行に当たっていたことが同じ監察局によって指摘されていた。監察局は今回の報告書でこの過去の事案を脚注で引用しており、なぜ言及したのかと問い合わせたDV&Oに対し、「今回の事案を『非常に深刻』と判断した理由を説明するため」と回答している。過去の指摘にもかかわらず同様の違反が繰り返されたことは、組織的な問題の根深さを示唆している。
政策議論への波及
この報告書の公表は、政治的にも微妙なタイミングと重なった。亡命担当相バルト・ファン・デン・ブリンクは現在、問題行動をとる難民や退去強制対象者への対応において、民間警備員(boa)の権限拡大を目指す政策を推進中だ。権限逸脱の実態が公式報告書に記録されたことは、その政策議論に少なくない影を落とすことになる。在蘭日本人を含む在留外国人にとっては直接の影響は限られるが、オランダにおける移民・難民政策の運用実態と、法の枠内での執行のあり方をめぐる議論の行方は、引き続き注視する価値がある。
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情報源: DutchNews
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