オランダ40万棟超で基礎崩壊リスク、修繕費最大540億ユーロの衝撃
気候変動・地下水低下・ガス採掘地震が複合的に直撃、4月から調査報告義務化も課題山積
オランダ国内で、住宅や建物の基礎が静かに崩れ始めている。政府の諮問機関「環境・インフラ評議会(Rli)」がまとめた報告書によると、国内で40万棟超の建物がすでに基礎に問題を抱えているか、今後10年以内に問題が生じる可能性があるという。うち約12万棟は早急な修繕が必要な状態にあり、手をこまぬいた場合、修繕費の総額は最大540億ユーロに達すると試算されている。
なぜ、いま基礎が崩れているのか
原因は一つではない。地下水位の低下、細菌による木製杭の腐食、干ばつ、施工上の欠陥、周辺の建設工事による地盤への影響など、複数の要因が絡み合っている。フローニンゲン州ではガス採掘に伴う地震が建物を直撃し、北部地域では被害が特に深刻だ。
TUデルフト大学の基礎工学専門家マンディ・コルフ氏はオランダのメディアNu.nlに対し、「地下水位が人為的な要因や気候変動によって低下すると、地盤が沈下し、杭のない建物はそのまま一緒に沈んでいく」と説明する。気候変動による乾燥化が進むほど、問題はより広範囲に及ぶ可能性がある。
住宅建設目標との板挟み
Rliは今後の対策として、新規住宅開発を荷重に耐えられる十分に安定した地盤の上に建設するよう求めている。しかしこれは、政府が掲げる年間10万戸の新築住宅目標をさらに達成困難にするという矛盾をはらむ。コルフ氏も「空間の不足は、アクセシビリティ、農業、そして人々が住みたい場所に基づく住宅建設という選択と、すべて連動している」と指摘する。
制度面では、今年4月から不動産売買の調査報告書に基礎の状態を記載することが義務付けられた。持続可能な住宅修繕向け融資を手がける非営利団体SVnのタマラ・エフェルス氏は、この義務化を「正しい方向への一歩」と評価しつつも、基礎の問題は外からは見えないことも多いと注意を促す。
個人負担への疑問と在蘭日本人への影響
課題として浮上しているのが費用負担の公平性だ。エフェルス氏は「修繕費を出せる人もいれば出せない人もいる。さまざまな原因が絡み合っているのに、個人の住宅オーナーだけに責任を負わせることが公平かどうか、問い直す必要がある」と述べる。
オランダで住宅を購入済みの、または購入を検討している在蘭日本人にとっても、この問題は他人事ではない。特に古い木造杭を使った戦前の建物が多い都市部では、購入前の基礎調査が以前にも増して重要になっている。4月以降の調査報告書義務化により情報開示は進むが、問題が「見えにくい」という本質的な難しさは残る。修繕費用の支援制度についても、SVnのような非営利機関の情報を積極的に収集しておくことが賢明だろう。
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情報源: DutchNews



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