オランダ最安値の新車ガソリン車は2万ユーロ——フィアット・パンディーナの素顔
エアコンはあるのにラジオはない、現代の「庶民の車」の現実
オランダで今日、新車のガソリン車を最も安く買おうとすれば、その答えはフィアット・パンダの後継モデル「パンディーナ」に行き着く。その価格は2万ユーロ。オランダ国内で購入できる新車ガソリン車の中で、現時点の最安値となっている。1980年の初登場時、パンダのCMは「この車があれば誰でも笑顔になれる」と謳い、手頃さと愛らしさで幅広い層の支持を集めた。しかし今、同じ車の後継モデルを前にした買い手の表情は、当時とは少々異なるようだ。
エアコンはあって、ラジオはない
パンディーナの装備内容は、その価格帯を考えると何とも独特だ。エアコンは標準で備わっている一方、ラジオは搭載されていない。スマートフォン連携や大型ディスプレイといった現代の装備とは無縁の、極めてミニマルな仕様となっている。現代の新車に当たり前のように付いていると思われがちな機能が省かれている点は、コスト削減の徹底ぶりを物語っている。それでもメーカー側は、この価格を実現するために相応の判断をしたということだろう。快適な移動のための最低限として「冷暖房」は残し、「情報・娯楽」は切り捨てた——そんな割り切りが透けて見える。
「庶民の車」の値段が庶民から遠ざかる
かつてのフィアット・パンダが象徴していたのは、誰もが手を伸ばせる「生活の足」としての自動車だった。しかし2万ユーロという数字は、現代のオランダにおける自動車購入コストの現実を端的に示している。これはあくまで新車市場の「底値」であり、少し装備を加えればすぐに価格は上乗せされる。オランダでは近年、新車価格の上昇が続いており、電動化シフトへの対応コストや素材・部品費の高騰が業界全体を直撃している。2万ユーロという最安値ラインは、一見低く聞こえるが、月々のローン負担や維持費を含めれば、決して軽い出費ではない。
在蘭の日本人にとっても、自動車は通勤や週末の移動に欠かせない存在だ。オランダの公共交通が充実している都市部ならともかく、郊外や地方に住む場合はマイカーの必要性が高まる。新車の選択肢が限られ、最安値でも2万ユーロを下回る車が存在しないという現状は、中古車市場への関心をさらに高めることになりそうだ。パンディーナの存在は、新車購入を検討する際のひとつの基準点として頭に入れておく価値があるだろう。
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