オランダで「スワッティング」初確認——虚偽通報が武装警官を無実の市民宅へ
ロッテルダム近郊の母娘が銃口を向けられた事件、検察が警告
今年5月、ロッテルダム近郊のある村で、何も知らない母娘が自宅で突然、警官に銃口を向けられた。警察が「17歳の娘が屋内で人を銃で脅している」という通報を受けていたためだ。しかし通報は完全な虚偽だった。オランダ検察(OM)と警察はこの「危険なインシデント」を受け、アメリカから持ち込まれた「スワッティング」と呼ばれる手口について公式に警告を発した。
スワッティングとは何か
「スワッティング」とは、重武装の逮捕チームを意味する米国の俗称「SWAT」から派生した言葉で、意図的な虚偽の緊急通報によって武装警官を標的の自宅へ派遣させる嫌がらせ行為を指す。OMの広報担当者は「この現象は米国ではすでに以前から見られるが、今やオランダでも確認されている。憂慮すべき展開であり、被害者への影響も大きい」と語った。
ロッテルダムの事件では、被害者の娘がオンラインハラスメントの標的となっていたとみられる。彼女が性的な画像の送付を拒否したことで個人情報をネット上に晒され、その流れでスワッティングが実行されたと推測されている。こうした手口は、未成年者をゲームプラットフォーム経由で標的にする国際的な「COMネットワーク」とも関連が指摘されており、オランダの若者がこうした集団に関与していることはNRCの過去の調査でも明らかになっている。
112番通報の深刻な悪用実態
2025年に112番へかかった約350万件の通報のうち、実に100万件が不適切な利用だったと警察は明かす。いたずら電話やポケットの中での誤発信から、緊急以外の問い合わせ、さらには圧力手段としての悪用まで多岐にわたる。警察の広報担当者は「こうした不要な通報は、本当に助けを必要としている人が緊急センターに繋がれなくなる危険性がある」と強調する。
スワッティングとの類似性を持つ別の現象として「いたずら電話(prankcall)」も問題視されている。YouTubeには料金を払えばいたずら電話を依頼できるチャンネルまで存在する。今年1月には、そうしたいたずら電話を受けた人物が精神的に追い詰められ、同日に橋を通りかかったシリア人の若者2人を射殺するという悲劇的な事件も起きており、オンライン上の悪ふざけが現実の暴力に直結した例として衝撃を与えた。
刑事罰と今後の捜査
112番の悪用は刑事罰の対象となり、成人には罰金または禁固刑が科される可能性がある。未成年者の場合は、まず親に通知が届き、悪用が続けばハルト(Halt)機関への送致や、さらに重い処罰も選択肢となる。ロッテルダムの事件については、検察はすでに容疑者を特定しており、年齢・居住地の詳細は明らかにされていないものの、逮捕には至っていない段階だという。
在蘭日本人にとっても、身に覚えのないまま自宅へ武装警官が踏み込んでくるというシナリオは決して他人事ではない。オンラインで個人情報が広まりやすい現代において、プライバシー管理の重要性と、緊急通報制度が悪意ある者に利用されうるリスクを改めて認識しておく必要がある。
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情報源: NRC



