コスト増と不透明感でオランダ中小企業の投資が減少、長期的な競争力低下を懸念
会計士団体SRAの調査が示す、MKBの厳しい経営実態
新しい配送バンの購入、従業員のスキルアップ研修、店舗や事務所の改装——こうした投資をオランダの中小企業(MKB)経営者たちが先送りするケースが増えている。会計士団体SRA(Samenwerkende Registeraccountants en Accountants-Administratieconsulenten)が実施した最新調査でその実態が明らかになった。経営者が投資をためらう背景には、コストの上昇、地政学的な不確実性、そして頻繁に変わる規制への懸念がある。
利益の減少と業種間の格差
財務面の悪化も投資意欲を直接押し下げている。SRAの理事ピーター・ファン・デル・クワークは「2025年には中小企業の約半数が前年よりも利益が減少した」と指摘し、投資に回せる余裕が縮小していると説明する。とくに打撃が大きいのは建設、飲食・宿泊(ホレカ)、小売の各セクターだ。人件費の上昇に加え、仕入れコストも膨らんでおり、キャッシュフローを圧迫している。一方、弁護士事務所などの専門的ビジネスサービス業では材料費・原材料費の影響を受けにくく、相対的に投資余力が残っているという。利益が出ている経営者でも、投資に充てるよりも内部留保として蓄える傾向があるとファン・デル・クワークは述べている。
政策の一貫性のなさが経営者の計画を狂わせる
コスト問題と並んで経営者を悩ませているのが、規制や補助金制度をめぐる不確実性だ。ファン・デル・クワークが例として挙げるのが環境ゾーン(milieuzone)の導入をめぐる迷走だ。「都市部への環境ゾーン導入がいったん決まりかけ、その後撤回された。電動バンに投資した経営者にとっては、高いコストをかけたのに結局不要になったということで、非常に痛手だ」と語る。こうした政策の揺り戻しが、中長期の設備投資計画を立てにくくさせている。
補助金制度への信頼の欠如も深刻だ。中小企業融資を専門とするレクター(応用大学の研究職)レックス・ファン・テーフェレンは「成功した補助金制度はすぐに予算が底をつくか、政府が既存の制度を縮小・廃止してしまう」と指摘する。経営者が先を見通した計画を立てるのが構造的に難しい状態が続いているという。
長期的な競争力低下という懸念
ファン・テーフェレンはさらに、中小企業の投資低迷が一時的な現象ではないことを強調する。「投資の落ち込みは何年も続いている。その結果、企業内の知識・技術が陳腐化し、製品やサービスの近代化が遅れる。そして輸出先の海外企業との競争でますます不利になる」と警告する。
オランダ在住の日本人ビジネスパーソンや企業関係者にとっても、この動向は無関係ではない。現地のサプライヤーやパートナー企業が投資を絞り込む状況が続けば、サービスの質や納期、革新性に影響が及ぶ可能性がある。オランダ政府が政策の一貫性をどう確保していくかが、中小企業セクターの回復力を左右する鍵となりそうだ。
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情報源: NOS Algemeen
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