オランダ「チューリップ基金」、米名門大学から34人の研究者を招致
トランプ政権下の科学予算削減が「頭脳流入」を後押し
オランダが、アメリカを中心とする海外トップ研究者の受け入れに本格的に乗り出した。教育省と研究資金機関NWO(オランダ科学研究機構)が2025年に共同で設立した「チューリップ基金(Tulp Fonds)」を通じ、国際的な優秀な研究者34人がオランダの大学や研究機関に迎えられることが決まった。その大半はアメリカの名門大学の出身者で、トランプ政権下での研究環境の悪化が招致を後押しする形となっている。
5000万ユーロで「両刃の剣」を狙う
基金の総額は5000万ユーロで、教育省とNWOがそれぞれ2500万ユーロを拠出して設立された。大学、大学附属医療センター(UMC)、専門大学が候補者を推薦できる仕組みで、採択された研究者1人につき受け入れ機関は5年間で最大100万ユーロを受け取ることができる。
教育大臣のレッチェルト氏はこの成果を「オランダにとっての朗報」と表現し、招致された研究者たちが新たな知識と国際ネットワークをもたらし、オランダの科学水準を底上げすると期待感を示した。NWOも、EU域外の優秀な人材を取り込むことで研究力を強化しつつ、学術の自由が脅かされた研究者の受け皿にもなるという「一石二鳥」の効果を強調している。
29人がアメリカ出身——背景にあるトランプ政権の政策転換
招致が決まった34人のうち29人がアメリカの大学・連邦研究機関の出身者で、ハーバード、スタンフォード、コロンビア、イェールといった名門校の研究者が名を連ねる。残りはイスラエル、トルコ、イギリス、シンガポールからの参加だ。
アメリカでは、トランプ政権が大規模な規制緩和と補助金削減を進め、科学的助言が政策立案から切り離されるなど、研究環境が急速に変化している。多くの研究者が職を失い、研究グループやプログラムが廃止されたケースも報告されている。こうした状況を受けて、オランダに限らずヨーロッパ全体でアメリカ人研究者の受け入れ競争が激化しており、EUも別途6億ユーロ規模の人材誘致策を打ち出している。
対象分野と今後の展望
今回採択された研究者が取り組む分野は、AI、量子技術、ワクチン、原子力、がん、アルツハイマー病、気候変動、食料生産など、オランダが国家的な優先領域と位置づける幅広い分野にわたる。いずれも中長期的な社会課題に直結するテーマであり、招致された研究者の成果がオランダ国内の産業や政策にも波及することが期待されている。なお、現行予算の枠内で2027年にも追加採択が行われる見通しだ。
在蘭日本人にとっても、こうした研究者の流入はオランダの大学・研究機関での研究環境の充実という形で間接的に恩恵をもたらす可能性がある。世界的な「頭脳争奪戦」が加速するなか、オランダが研究立国としての地位を強化しようとする姿勢は、今後も注目に値する。
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情報源: NOS Algemeen





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