窒素削減計画、深夜論戦を経ても内閣が方針を堅持――農家は議事堂前でトラクター抗議
2035年までにアンモニア排出を最大46%削減、1ヘクタール2.6頭上限の計画が焦点に
オランダ農業相ヤイミ・ファン・エッセンは、深夜まで続いた議会討論の場で、窒素削減計画の修正を求める声に一切応じない姿勢を鮮明にした。「計画は一体のものであり、一部を弱めれば必ず影響が出る」と述べた同相は、内容を薄めれば再び建設・インフラ許認可の「停滞」に逆戻りするリスクがあると警告した。計画は先週閣議で合意されたもので、2035年までにアンモニア排出を42〜46%削減することを目標に掲げている。
計画の概要と農家への影響
今回の窒素削減パッケージの柱は三つある。アンモニア排出の大幅削減目標、1ヘクタールあたり2.6頭という乳牛の飼育上限、そして100カ所の自然保護区周辺への低窒素バッファーゾーンの設置だ。バッファーゾーン内の農家は、牛の頭数削減、新技術への転換、農場の移転、あるいは廃業という選択肢を迫られる。自主的な削減措置が目標に届かない場合は、強制的な削減措置が全農家に適用される仕組みだ。この計画の背景には、2019年に最高行政裁判所(国家評議会)が下した、欧州の窒素規制に関する判決がある。この判決以降、住宅や道路などの建設許可が7年にわたって滞り、オランダの社会インフラ整備に深刻な影響を与えてきた。
左派の「条件付き支持」と議会の攻防
内閣は今週、左派政党PRO(プログレシーフ・ネーデルラント)の支持を取り付け、下院での過半数確保に成功した。ただし支持には条件が付いており、PRO議員のラウラ・ブロメットは「この計画を弱体化させてはならない」と明言。計画の一部修正を求めていたCDA議員に対し、「今、警告しておく」と語気を強めた。この姿勢に反発した野党ChristenUnieのピーテル・グリンウィス議員はPROを「独裁的だ」と批判したが、ブロメット議員は「自党の立場を持つことは当然の権利だ」と反論した。一方、当初は「歩み寄る用意がある」としていたJA21は、バッファーゾーンや飼育上限について「一ミリも動かない」として深夜過ぎに支持を撤回した。内閣は引き続き上院での多数派形成が必要であり、PvdD、SP、Voltなどの政党に働きかけを続けている。
議事堂前のトラクター、5人逮捕
議会の外では、酪農家団体NMVとデン・ハーグ市長ヤン・ファン・ザネンとの事前協議に基づき、トラクター20台が「象徴的」な抗議活動として議事堂近くへの乗り入れを許可された。一方、市の外縁部では警察が非常命令を発動し、別のトラクターを阻止。農家5人が逮捕された。議会の傍聴席は農家で埋め尽くされ、大臣に向かって怒鳴った1人が退場を命じられる場面もあった。法案化に向けた手続きは今後も続き、最初の法案は10月の国会審議を目指して準備が進められる。農業政策をめぐる政治的な攻防は、秋以降も続く見通しだ。在蘭の農業関係者や農村部に暮らす日本人にとっても、土地利用や許認可に直接影響しうる動向として注視が求められる。
広告掲載にご興味のある方は こちら
情報源: DutchNews
関連ニュース
オランダ政府、英軍向けウラン濃縮をUrencoに承認 防衛協力の新局面

ケティコティ、窒素政策審議、そしてコーマン監督の辞任――7月1日のオランダ

ボックス3課税法案、上院の採決を夏以降に延期——秋の予算発表が焦点に
保育施設スタッフの半数を学生で賄う特例措置、懸念の声を押し切り2年延長
保育施設スタッフの半数を学生で賄う特例措置、懸念の声を押し切り2年延長

精神的DVを独立した犯罪に オランダ内閣が歴史的な法案を提出
