政党員制度の義務化へ――D66とPROが修正法案を推進
PVVを念頭に「民主的最低基準」を設ける動き、秋の政党法に組み込みへ
オランダの議会政党D66と左派野党PROは、議会に議席を持つ全政党に対して党員制度の整備を義務付ける法案を修正し、改めて推進する姿勢を明らかにした。両党が掲げるのは「民主的最低基準(democratic baseline)」の確立であり、政党と議員の説明責任を高めることを目的としている。修正案は、今秋に内閣が議会へ提出予定の政党法新法に組み込まれる見込みだ。
国家評議会の指摘を受けて制裁を緩和
当初の法案は、国家評議会(Raad van State)から厳しい指摘を受けた。すべての法案が既存法や憲法との整合性を審査される同機関は、党員制度の義務化そのものは可能との見解を示したものの、「未対応の政党を選挙に出馬させない」とする制裁措置については「行き過ぎ」と判断した。これを受けてD66のJoost Sneller議員とPROのMohamed Mohandis議員は法案を見直し、新党に対しては党員制度を整えるまでの猶予期間を5年間設ける内容に修正した。
Snellerは紙媒体「テレグラーフ」の取材に対し、「民主主義においてこうした基準は当然あるべきだ。従業員が50人いれば労使協議会(works council)の設置が法律で義務付けられている。誰もそれをおかしいとは思わない」と述べ、義務化の正当性を強調した。
PVVへの「当てつけ」との見方も
この動きの背景として、各所が注目するのがヘルト・ウィルダース党首率いる極右政党PVV(自由党)の存在だ。PVVは党員制度も党規約も持たないまま議会に19議席を有するという異例の組織形態をとっている。昨年10月の総選挙では26議席を獲得したが、ウィルダース氏が党員受け入れや指導部への挑戦を一切認めないことに反発した7人の議員が今年1月に離党、現在の議席数は19にとどまっている。右派政党の一部はこの法案をPVVへの政治的攻撃と見なし、反発している。
法案の可決には下院過半数の76議席が必要だが、現時点でCDA(キリスト教民主主義訴え)など4党を含む支持議席は71にとどまり、過半数まであと5議席が不足している。焦点となるのが右派自由党VVDの22議席だ。VVDはいまのところ態度を明確にしていないが、党首のディラン・イェシルギョズ氏は昨年の選挙戦中にこの構想への支持を示唆していた。
在オランダの日本人にとって直接的な影響は少ないものの、この議論はオランダ民主主義の根幹に関わる問題を提示している。政党が党員を持たずとも議会に議席を持てる現状をどう是正するか。秋の政党法審議は、オランダの政治文化そのものを問い直す場になりそうだ。
広告掲載にご興味のある方は こちら
情報源: DutchNews
関連ニュース

窒素削減計画、深夜論戦を経ても内閣が方針を堅持――農家は議事堂前でトラクター抗議
オランダ政府、英軍向けウラン濃縮をUrencoに承認 防衛協力の新局面

ケティコティ、窒素政策審議、そしてコーマン監督の辞任――7月1日のオランダ

ボックス3課税法案、上院の採決を夏以降に延期——秋の予算発表が焦点に
保育施設スタッフの半数を学生で賄う特例措置、懸念の声を押し切り2年延長
保育施設スタッフの半数を学生で賄う特例措置、懸念の声を押し切り2年延長
