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リンブルフ洪水から5年——水害補償制度はなぜ変わらないのか
政治・行政 読了 3分

リンブルフ洪水から5年——水害補償制度はなぜ変わらないのか

保険業界は官民共同の包括保険を求めるが、政府は旧来制度に固執

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2025年6月末にも「オレンジ警報」が発令されるほどの激しい雷雨がオランダを襲ったばかりだが、今年の7月中旬にはある節目を迎える。2021年7月、リンブルフ州をゲウル川とマース川の氾濫が直撃した大洪水から、ちょうど5年が経過するのだ。国境を越えたドイツやベルギーでは200人超が死亡した。リンブルフでは人命の損失こそ免れたものの、700戸が一時居住不能となり、数百の店舗・飲食店・企業・施設が深刻な水害を受けた。あれから5年——制度は変わったのか。答えは、ほとんど変わっていない、だ。

WTSという「網の目」がこぼすもの

洪水直後、被災者が真っ先に直面したのは「誰が補償するのか」という問いだった。政府は迅速に「損害補償法(WTS)」を発動し、当時の暫定首相マルク・ルッテは現地を訪れ「リンブルフを見捨てない」と表明した。しかし実際の補償は、その言葉とは大きくかけ離れていた。

WTSはもともと1998年に制定された「最後の砦」的な制度だ。自力での保険加入を基本とし、それでは賄えない場合のみ発動する仕組みである。ところが今回は複数の構造的欠陥が重なった。小河川の氾濫による被害地域では保険加入が可能とみなされたため、WTS自体が適用外となったケース。保険金が下りても、内装を丸ごと買い直すには不十分なのに、差額分をWTSに申請できないケース。さらに、家屋が一時的に居住不能となって二重の住居費を負担した被災者への追加支援もなかった。穴だらけの制度を補うために次々と「特別給付金」が設けられたが、それはかえって皮肉な結果を招いた——「どうせ後から補助金が出る」という見通しが、民間保険への加入インセンティブを損なったのだ。

業界は「官民共同」を求め、政府は首を縦に振らない

保険業界はこの5年間、ロビー活動を続けてきた。複数の保険業界幹部が語ってきたのは、民間単独では大規模な水害リスクを引き受けられないという現実だ。デルタ地帯に位置するオランダで大河川が氾濫すれば、その損害は民間保険会社の財務体力を超える。そこで業界が提案しているのが、テロ被害補償に類似した政府保証付きの官民共同水害保険の創設だ。住宅・家財保険に義務的に付帯させ、小河川から大河川、さらには海岸部まで広くカバーする包括的な仕組みを想定している。

ところが約2年前、政府の回答は明確な「ノー」だった。WTSを維持しつつ、その運用を改善する方向を選んだ。保険業界もそれ自体には協力する姿勢を示している。少なくとも、WTSの適用範囲を事前に明確化し、民間保険との役割分担を透明にすることを求めている。また、被災者が政府窓口と保険会社を行き来しなくて済むよう、一元的な「ワンストップ窓口」の設置も要望してきた。政府も一時はこれに前向きな姿勢を示したが、オランダ保険協会(Verbond van Verzekeraars)によれば、2026年半ばの現在もなお「検討中」の段階にとどまっている。

次の「リンブルフ」が来る前に

気候変動による豪雨の激化は、すでに現実となっている。もし今、同規模の洪水がリンブルフや他の地域を再び襲ったとしたら——制度的な答えは5年前とほぼ変わらず、複雑で遅く、不完全な損害処理が繰り返されることになる。オランダに暮らす人々にとって、これは対岸の火事ではない。住宅保険や家財保険に加入している場合でも、水害による損害がどこまでカバーされるかを今一度確認しておくことが、現時点でできる最も現実的な備えといえるだろう。制度の空白を個人のリスク認識で埋め合わせなければならない状況は、官民どちらにとっても健全ではない。

情報源: NRC

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