プラスチック製ガムを欧州で禁止に――オランダが欧州委員会に要求
路上ごみの13%を占めるガム、分解に最長100年かかる現実
チューインガムは小さな嗜好品だが、その環境負荷は侮れない。オランダ政府は、使い捨てプラスチック規制の見直しに合わせ、欧州委員会に対してプラスチック含有ガムの販売禁止を求めた。担当するインフラ・水管理省のベルトラム国務長官は「ガムには通常プラスチックが含まれており、路上に多く捨てられている。マイクロプラスチックによる環境汚染を防ぐためには、天然原料のみを使用したガムだけを認めるべきだ」と述べた。
ガムはポイ捨てごみの「第2位」
オランダ国内では年間約350万キロのチューインガムが消費されている。食べ終わったガムの多くが路上に吐き捨てられ、踏みつけられてそのまま張り付く。国土水管理局(Rijkswaterstaat)によると、ガムはたばこフィルターに次いで多く見つかる路上ごみで、ポイ捨てごみ全体の13%を占める。特に繁華街のショッピングセンターや、バス停・鉄道駅の周辺、飲食店の前などに集中しやすい。
問題は見た目の不快さだけにとどまらない。プラスチックを主原料とする一般的なガムは、自然界で分解されるまでに20年から最長100年かかるとされており、その過程でマイクロプラスチックが環境中に放出される。一方、天然成分を使ったガムであれば、数週間から10年程度で分解されるとの試算もある。
清掃コストが自治体を直撃
ガムの除去には高圧スチーム洗浄機や専用溶剤が必要で、作業は手間と時間を要する。ロッテルダムの繁華街「レインバーン」では今も古式ゆかしいパテナイフを使う場面があるほどだ。多くの自治体は費用対効果を考え、特に汚染が激しい「ホットスポット」のみの対応にとどめている。
ハーグ市では主要繁華街のフローテ・マルクトストラートを毎営業日清掃しているが、担当チームコーディネーターのレーン・プロンク氏は「人々は路上に捨て続ける。2週間もすればまた元通りだ」と苦境を語る。同通り1本の年間清掃費用は15万ユーロに上るとハーグ市の環境担当ウェットハウダーであるカプタインス氏は明かし、「行動変容キャンペーンだけでは効果が不十分だと分かった。だからこそ欧州レベルでの禁止に期待している」と話す。
自治体の廃棄物収集を担う業界団体NVRDも禁止を支持している。「綿棒やプラスチックストロー、マドラーでも規制が実現した。ガムでも同様にできるはずだ」と担当者は楽観的な見方を示す。
業界は「不均衡」と反発、実現は2030年以降
一方、オランダおよびEUの菓子・ガム業界団体(VBZおよびICGA-Europe)は強く反発している。ガム禁止は「不均衡な措置であり的外れだ」と批判し、使い捨てプラスチック規制はあくまで包装材や電子タバコ(ベイプ)を対象としたものであって、ガムのような食品には本来適用されるべきではないと主張している。「消費者、生産者、そしてオランダの製菓業界にとって前例のない打撃となる」と訴えている。
もし欧州レベルでの禁止が実現しなかった場合、オランダ政府は少なくともガムメーカーに清掃コストを負担させる仕組みを求める方針だ。使い捨てプラスチック規制の評価は約1年後に完了する見通しで、仮に禁止が決定されたとしても施行は早くて2030年となる。在蘭日本人を含む消費者にとって、手にするガムの素材が近い将来変わる可能性がある。規制の行方は欧州委員会の評価次第だが、環境コストを「見えない負担」として社会全体で担い続けるかどうかが問われている。
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情報源: NOS Algemeen
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