育児休暇の取得率、従来の想定より大幅に低かったことが判明
恩恵が届かない低・高所得層、「ベビーペナルティ」解消にも課題
2020年にオランダで導入された、パートナー向けの追加育児休暇(aanvullend geboorteverlof)。出産した女性のパートナーが最長5週間、給与の70%を受け取りながら休暇を取得できるこの制度の実際の利用率が、従来の推計を大きく下回ることが新たな研究で示された。経済誌ESBに掲載されたこの研究によれば、実際に追加育児休暇を取得しているパートナーは**約60%**にとどまっており、従来の74〜84%という推計と比べて大幅に低い数字だ。
所得層ごとに異なる「取得の壁」
制度を利用しない理由は、所得層によって性質が異なる。まず低所得層では、休暇中に収入が通常の70%に落ちることの生活への影響が大きく、経済的な余裕のなさが取得を阻む。加えて、低所得層は短期・非正規雇用の割合が高く、長期の休暇を申請すること自体へのハードルも高い。
一方、高所得層でも取得率は相対的に低い。制度上の給付額は年収約5万5000ユーロを上限として計算されるため、それ以上の収入を得る人は休暇中の実質的な収入損失が大きくなる。研究者らはこうした構造的な問題を指摘し、「所得分布の下端における財政的障壁と、上端における収入損失の両方が、休暇を取得しない選択に影響を与えている」と結論づけている。
格差拡大と「ベビーペナルティ」の課題
この制度がもともと設けられた目的は二つある。一つは育児・家事負担をパートナー間でより平等に分かち合うこと、もう一つは、子どもの誕生後に女性だけが収入を大きく落とす「ベビーペナルティ(babyboete)」を緩和することだ。しかし今回の研究は、いずれの目的においても制度が十分に機能していない可能性を示唆している。
研究者らが特に懸念するのは、制度の恩恵が中所得層に集中することで、所得層間の格差がかえって広がるリスクだ。中所得層のパートナーが休暇を活用して育児に関わる時間を増やす一方、低所得層の家庭では依然として時間的・経済的な制約が残る。その結果、子どもや家族と過ごす時間の分配がより不均等になりかねないと、研究者らは警告している。
在蘭日本人にとっての意味
日本でも育休取得率の向上が社会的課題となっているが、オランダが先行して直面しているのは「制度はあっても使われない」という次の段階の問題だ。収入補償の水準や雇用形態による不公平は、制度設計の見直しを迫る論点として今後の政策議論に影響を与えそうだ。オランダで働くパートナーとして育休取得を考えている場合は、自身の収入水準と給付上限の関係を事前に確認しておくことが現実的な対応となる。
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情報源: NOS Algemeen
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