DigiD運営会社が買収禁止に不服申し立て――国家安全保障をめぐる法廷闘争へ
米クラウド大手Kyndrylへの売却禁止、その事実的・法的根拠を問う
オランダの電子政府認証システム「DigiD」のクラウドインフラを担う企業Solvinityが、政府による買収禁止命令を不服として法的手続きに踏み切った。NRCの報道をAerdts国務長官の広報担当者が確認したもので、案件はすでに裁判所に持ち込まれており、経済省はこれ以上のコメントを控えるとしている。
「公共の利益」を盾にした異例の市場介入
デジタル経済・主権担当国務長官のAerdts氏は先月、米クラウド・インフラ企業KyndrylによるSolvinity買収を「公共の利益の保護」を理由に禁止した。判断の根拠となったのは、特定の投資・合併・買収案件について国家安全保障上のリスクを審査する機関「BTI(Bureau Toetsing Investeringen)」の勧告だ。Aerdts氏は「市場への介入は重い手段であり、軽く決断したわけではない」と説明しつつも、「リスクを排除できず、公共の利益を保証できない以上、介入は必要だった」と述べている。オランダ下院の過半数も米国企業への売却に反対しており、ITセキュリティの専門家からも懸念の声が上がっていた。
Solvinityが問うのは「なぜ禁止か」という根拠
Solvinityは政府の懸念を真摯に受け止めるとしながらも、決定の事実的・法的根拠の明確化を求めて法的手続きを選択した。同社は「十分な情報なしに次のステップを慎重に検討することはできない」という立場だ。もともとオランダで創業し、現在は英国系資本の傘下にあるSolvinityに対し、禁止命令を受けたKyndryl側は「極めて失望している」と公式に表明している。
在蘭日本人にとっての意味――DigiDは「生活インフラ」
DigiDはオランダに住むすべての人にとって、行政手続きや税務申告、医療保険の管理など日常生活に直結する認証基盤だ。買収が実現していた場合、米国政府がDigiDへのアクセス遮断や個人データの提供を要求できる可能性があるとされており、在蘭日本人を含む全居住者のプライバシーと行政サービスへのアクセスに関わる問題でもある。オランダ政府はすでにドイツ系クラウド事業者との契約を模索するなど、米国依存からの脱却を図っている。今回の法廷闘争の行方は、デジタル主権と外資規制のあり方をめぐるオランダの政策の試金石となりそうだ。
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情報源: NOS Algemeen
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