コロナ禍のICU不足、オランダは今も未解決——専門家が議会で改めて警告
人員確保できなければ、ベッド数増加は「見せかけの解決」にすぎない
オランダの集中治療室(ICU)が抱える人員不足は、コロナ禍から数年が経過した今も解消されていない——。ICU専門医のディーデリク・ホメルス氏は、オランダ議会が設置したコロナ禍調査委員会の公聴会におよそ2時間出席し、そう訴えた。次の感染危機が到来すれば、パンデミック時と同様のICU逼迫が再び起こりうるという警告は、医療政策の課題が積み残されたままであることを改めて浮き彫りにした。
「見せかけの解決」では患者を救えない
ホメルス氏がとりわけ強調したのは、ベッド数の拡充だけでは根本的な解決にならないという点だ。議会では最低ベッド数を法律で定める案も議論されているが、同氏はこれに反対の立場を示した。「十分な人員がなければ、患者に解決策を与えているように見えるだけだ」と述べ、ハードの整備よりも人材確保が先決であると訴えた。現状、ICUのベッドを900床から1,150床へ増床するには、新たに1,000人の人員が必要だが、昼夜交代制の勤務を賄うだけの医療従事者は確保できていないという。
コロナ第1波では、2020年3月初旬に10人だったICU入院患者が同月末には1,100人に達した。オランダが「コードブラック(ICU満床)」という最悪の事態をかろうじて免れたのは、人口あたりのICUベッド数がオランダの4倍にあたるドイツへ患者を移送したためだった。ホメルス氏はこうした状況を振り返り、オランダは長年コスト削減を優先しすぎたために「綱渡り」を続けてきたと批判した。
政府対応への批判と「年齢制限」をめぐる論争
ホメルス氏はパンデミック中の政府対応についても厳しい評価を示した。感染爆発管理チームが警告を発していたにもかかわらず、2020年秋の感染再拡大時にロックダウン措置の再導入が遅れたと指摘し、「事実の後を追いかけているようだった」と述べた。また、バーの閉店時間といった政策判断に医師が引き込まれた状況にも疑問を呈し、医療側は医療システムの維持に専念させるべきだったと主張した。
さらに、ICUが逼迫した際に80歳を基準とした年齢による治療優先度の設定をめぐり、マルク・ルッテ首相やフーゴ・デ・ヨング保健相と意見が対立したことも明かした。「もちろん全員が平等だ。しかし、ときに選択をしなければならない」と述べたうえで、判断の基準はあくまで「脆弱性」、すなわち患者が治療から回復できる状態かどうかにあると説明した。
在蘭日本人にとっての意味
議会の調査委員会という公式の場での証言は、パンデミック時の教訓がどこまで政策に反映されたかを問い直すものだ。コロナ後に先送りされた手術や検診のバックログも十分に解消されていないとホメルス氏は述べており、オランダの医療体制への信頼は引き続き問われている。在蘭日本人を含む医療利用者にとっては、次の感染拡大時に再び受診や入院が制限されるリスクが残ることを意味する。また、感染拡大期に入院患者の家族が臨終に立ち会えなかった経験についてホメルス氏は感情を露わにしながら「二度と繰り返してはならない」と語っており、医療倫理の観点からも議論が続く見通しだ。
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情報源: DutchNews
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