ストーキング被害者に催涙スプレー携帯許可証を──オランダが制度導入を検討
17歳リサ殺害事件を機に、デンマーク型モデルが浮上
ストーキング被害者や深刻な脅威にさらされている人々に、護身用の催涙スプレー携帯を許可する制度を──オランダの法務大臣ダフィット・ファン・ウェールが、そうした仕組みの導入を本格的に検討している。現行の武器法では催涙スプレーは一般市民への使用が禁じられており、実現すれば大きな制度変更となる。
17歳リサの死が問い直した「自衛の手段」
議論の直接の発端となったのは、2024年にアブコウデで17歳のリサが殺害された事件だ。この悲劇を受け、ファン・ウェール大臣は「女性や少女がより安全に身を守れるよう、催涙スプレーの合法化を検討する用意がある」と表明。法務省はその後、欧州各国の規制状況を調査し、デンマークの制度を最も有望なモデルとして注目するに至った。
デンマークでは、ストーキング被害者や元交際相手から脅された女性、名誉関連暴力のリスクを抱える人々など「特別な保護ニーズがある」と認められた場合に、警察に申請することで携帯許可証を取得できる仕組みが整っている。オランダもこの枠組みを参考に、対象者を限定した許可制の導入を探る方針だ。
全面解禁は否定、懸念は「スプレーの逆用」
一方、大臣は催涙スプレーの全面解禁は明確に否定している。研究が示す「重大なリスク」として挙げたのは、攻撃者がスプレーを奪って被害者に使用するケースや、不慣れな使用者が誤って自分にかけてしまう事例だ。「誰も自分自身の安全に責任を負わせられるべきではない。優先事項は、加害者への対処、被害者の保護、そして予防だ」と大臣は議会で述べている。
今後は、オランダ・デンマーク双方の専門家を交えて許可制度の実現可能性を検討する予定だ。また、政府は女性への暴力とドメスティック・バイオレンスを専門に扱う「国家コーディネーター」ポストの設置も並行して進めている。
被害者支援団体は「根本解決」を訴える
こうした動きに対し、被害者支援団体「スラハトッフェルフルプ・ネーデルランド」は「安全と感じることは、実際に安全であることとは別物だ」として、ストーキングや脅威を実質的に減らす施策への注力を政府に求めている。フェミニスト団体「ドル・ミナス」の広報担当リデワイ・バールトも「暴力には暴力で立ち向かうべきではない」と公共放送NOSに語り、加害側の行動変容こそが解決策だという立場を示した。
在蘭の日本人にとっても、オランダで暮らす女性や家族が身近に感じうるテーマだ。制度が導入された場合、許可申請は警察窓口を通じて行われる見通しであり、今後の立法・行政手続きの動向を注視しておきたい。
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情報源: DutchNews
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