連立政権の医療・社会保障削減、重病・障害者に月最大300ユーロの負担増
Nibudの試算が示す「制度の連鎖」による家計圧迫の実態
オランダの連立政権が進める医療・社会保障の大規模な削減計画が、障害者や慢性疾患を抱える人々の家計を直撃する可能性が浮き彫りになった。家計研究機関Nibudが障害者団体Ieder(in)、患者連盟Patiëntenfederatie Nederland、介護者団体MantelzorgNLの依頼を受けて行った試算によると、複数の制度を同時に利用している世帯では、月最大約300ユーロ、年間で3,500ユーロを超える追加負担が生じる恐れがある。これは、同機関が2024年の別の調査で算出した「障害・慢性疾患に起因する既存の追加支出(年間1,000〜4,500ユーロ)」にさらに上乗せされるものだ。
複数制度の「連鎖」が問題の核心
Nibudは8種類のモデル世帯を想定してシミュレーションを実施した。そのうちのひとつ、移動障害を持つ生活保護受給の単身者のケースでは、すでに障害のない人と比べて月241ユーロ多く支出しているが、削減計画の影響でさらに160ユーロが加算され、月401ユーロの追加負担となる試算が出た。
Nibud所長のマティアス・ヘイスベルトセン氏は、問題の根本は各削減措置が相互に連動する点にあると指摘する。特定の医療費に適用されていた税控除が廃止されると課税所得が増加し、それに伴って医療手当(zorgtoeslag)の支給額が減少するほか、ケアにかかる所得比例負担金も増えるという仕組みだ。具体的な措置としては、自己負担上限額(eigen risico)の引き上げ、社会支援法(Wmo)に基づく在宅ケアへの所得連動型負担導入、基本保険パッケージからの一部医薬品の除外などが重なる。社会保障面でも、永続的かつ完全に就労不能な人に支払われるIVA給付が廃止される予定で、将来の受給者は現行の最終給与の75%から70%への引き下げとなる。
補償策の実効性に疑問符
政府は社会保障全体で約65億ユーロの削減を計画する一方、障害者・慢性疾患者への補償として3億5,000万ユーロを確保するとしている。ただし、その配分方法は示されておらず、地方自治体を通じた分配に委ねられる方針だ。これに対し、自治体連合VNGは「この層は自治体の管轄外に置かれていることが多く、行政が把握していないケースも少なくない」と実効性への懸念を示している。政府は夏前に独自の影響分析を公表する予定だ。
当事者団体らは今月、「#IkKanNietMeer(もう限界)」キャンペーンを通じて集めた個人の体験談をまとめた冊子を議会に提出し、計画の撤回を強く求めた。在蘭日本人の中にも慢性疾患や障害を抱えながら生活している人は少なくない。今後の議会審議と政府の補償策の具体化の行方は、当事者にとって見逃せない論点となる。
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情報源: DutchNews
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