障害者・慢性疾患患者、政府施策で月数百ユーロ負担増の恐れ
Nibudが「措置の積み重なり」を警告、補償3億5000万ユーロの実効性にも疑問
オランダ家計情報機関(Nibud)は、現政権の連立合意および前政権期の施策が、障害者や慢性疾患患者の生活に深刻な打撃を与えると警告した。対象となる措置は一つではなく、複数の政策が同時に適用される「積み重なり」の問題が核心にある。Nibud のマティアス・ヘイスベルトセン所長は「複数の医療サービスを利用している人ほど、措置の積み重なりによって最も大きなダメージを受ける」と強調する。
何が変わるのか——措置の全体像
具体的な措置として挙げられているのは、義務的自己負担額(eigen risico)の引き上げ、完全就労不能者向け所得保障(IVA)の削減、社会的支援法(Wmo)による家事支援の廃止、一部薬剤の基本保険適用除外、そして障害者向け特定医療費控除の廃止などだ。さらに、訪問看護・Wmo・青少年ケアへの自己負担金の新設も予定されている。Nibud の試算では、影響を受ける層は月100〜300ユーロの追加負担を強いられる見込みだ。これはもともと障害のない人と比べて月100〜400ユーロ多く支出している現状に、さらに積み重なる形となる。
生活保護(bijstand)を受給し運動機能に障害を持つ独身者を例に取ると、リフトや高い光熱費などで毎月すでに241ユーロの超過支出がある。今回の措置が実施されればそこへ月160ユーロが追加され、合計で月401ユーロの超過支出になるという。
当事者の声——月1,000ユーロ超の衝撃
脊髄性筋萎縮症(SMA)を患うニールス・ファン・ホーン氏(48歳)は、その現実を体現する一人だ。かつて造船業で超大型ヨットの照明設計を手がけていたが、コロナ感染後に症状が悪化し就労不能と認定された。現在は起床・入浴・着替えに至るまで、妻が24時間体制で介護にあたり、10歳の息子も靴下を履かせるなど日々の介助を担う。
ファン・ホーン氏は今回の措置により月1,000ユーロ近い追加負担が生じる可能性があると語り、「貯蓄を切り崩し、動物園や旅行は諦めて生活している」と現状を打ち明ける。同氏は障害者・慢性疾患患者の連合団体「Ieder(in)」とともに体験談集を政界に提出し、日常生活への影響を訴えた。
補償3億5,000万ユーロ——市町村任せに限界
政府は障害者・慢性疾患患者への補償として3億5,000万ユーロを市町村に配分する方針を示している。しかし、オランダ市町村連合(VNG)は「慢性疾患患者への支援は自治体の本来業務ではない場合が多く、対象者の把握自体が困難だ」と述べ、実質的な対応への疑問を呈している。政府が独自に進める影響調査の結果は夏前に公表される見通しだが、措置の実施時期との兼ね合いが焦点となる。
在蘭日本人にとっても、自己負担額の変更や家事支援サービスの廃止は無関係ではない。慢性疾患や障害を抱える場合はもちろん、子どもの医療や訪問看護を利用している家庭にも影響が及びうる。Nibud は「補償は措置が始まる前に、最も打撃を受ける人々に届けるべきだ」と政府に求めており、今後の政策決定の行方が注目される。
広告掲載にご興味のある方は こちら
情報源: NOS Algemeen
関連ニュース

窒素削減計画、深夜論戦を経ても内閣が方針を堅持――農家は議事堂前でトラクター抗議
オランダ政府、英軍向けウラン濃縮をUrencoに承認 防衛協力の新局面

ケティコティ、窒素政策審議、そしてコーマン監督の辞任――7月1日のオランダ

ボックス3課税法案、上院の採決を夏以降に延期——秋の予算発表が焦点に
保育施設スタッフの半数を学生で賄う特例措置、懸念の声を押し切り2年延長
保育施設スタッフの半数を学生で賄う特例措置、懸念の声を押し切り2年延長
