NLZietがZiggoやKPNの顧客を奪う存在に成長——オランダ発ストリーミングの現在地
違法視聴機器という影の課題を抱えながら、国産プラットフォームが躍進
オランダの動画配信アプリ「NLZiet」が、静かに、しかし着実にメディア市場の勢力図を塗り替えつつある。もともとはNPO・RTL・SBSの番組を見逃し視聴・先取り視聴するための便利ツールとして誕生したサービスが、いまや大手通信キャリアのZiggoやKPNが提供するチャンネルパッケージの直接的なライバルとして業界内で認識されるまでに成長した。創業からちょうど12年が経過した現在、同社は「健全な成長数字」を記録しているという。
国内連携で海外巨人に対抗する戦略
NLZietの代表を務めるニールス・バース氏は、この成長に浮かれることなく冷静な姿勢を崩さない。同氏が繰り返し強調するのは、NetflixやDisney+といった海外の巨大プラットフォームに対抗するためには、オランダ国内のプレーヤーが強固な連携を築くことが欠かせないという点だ。「オランダとして強い一つの拳を作ることが重要だ」というバース氏の言葉には、規模で圧倒的に勝る海外勢への危機感がにじむ。NLZietがNPO・RTL・SBSという本来は競合関係にある放送局を一つのプラットフォームに束ねる形で成立していること自体、その「国内連携」の思想を体現している。
違法視聴機器という根深い課題
一方で、業界全体の収益を蝕む問題として残るのが、いわゆる「違法なセットトップボックス」の存在だ。月額料金を支払わずに多数のチャンネルを視聴できるこうした機器は、正規サービスへの加入を阻害する大きな障壁となっている。バース氏はこの問題を「複雑な戦い」と表現しており、技術的・法的な両面での対応が求められる難題であることを認めている。NLZietのような正規サービスが成長を続けるためにも、違法視聴機器への実効性ある対策が業界全体の喫緊の課題となっている。
在蘭日本人にとっての選択肢
日本語コンテンツを求める在蘭日本人にとってNLZietの直接的な恩恵は限定的かもしれないが、オランダ語やオランダのテレビ番組に親しみたい人にとっては、ZiggoやKPNよりも低コストでテレビチャンネルにアクセスできる選択肢として注目に値する。またこの動向は、オランダのメディア産業が国際的な競争圧力の中でどのように生き残りを模索しているかを示す一例でもある。国産プラットフォームの成否は、オランダ語圏のコンテンツ文化そのものの持続性にも影響を与えうる問題だ。
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