ロッテルダムのチップ検査企業Nearfieldが約550億円調達、オランダ発ユニコーン誕生
ディープテック最大規模の資金調達、「第二のASML」への期待も
ロッテルダムを拠点とするチップ検査装置メーカー「Nearfield Instruments」が、3億8000万ドル(約550億円)の資金調達ラウンドを完了した。この調達により企業評価額は16億ドル(約2,300億円)に達し、スタートアップの成功指標とされる「ユニコーン」の仲間入りを果たした。同社はこれをオランダのディープテック企業として過去最大規模の投資ラウンドと位置づけている。
TNOのスピンオフから世界へ
Nearfield Instrumentsは2016年、オランダの応用科学研究機関TNOのスピンオフとして設立された。同社が手がけるのは、製造工程でのチップの品質検査装置だ。最新世代のチップには爪の大きさほどの面積に1000億個以上のトランジスタが詰め込まれており、そのわずかな欠陥を原子レベルで検出する技術の需要は急速に高まっている。
今回のラウンドは米国の投資大手Fidelityが主導し、シンガポールの政府系ファンドTemasekやカタールの政府系ファンドも新たな出資者として加わった。さらに国内からは政府支援投資機関のInvest-NLや既存株主のTNO Ventures、INGも参加した。政府はこれとは別に、2週間前にもNearfieldが投資先に含まれるハイリスクテクノロジーファンドに3億6000万ユーロを追加拠出しており、戦略的技術企業を国内に留めようとする姿勢が明確だ。
「プロセス制御は新たな要衝」―ASMLに続く存在となるか
同社CEOのハメド・サデギャン氏は、チップ製造における計測・検査の重要性がリソグラフィ(露光技術)に匹敵するものになりつつあると語る。リソグラフィはASMLが世界市場を独占する分野だ。「プロセス制御は業界の新たなチェックポイントになっている」と同氏はフィナンシアーレ・ダグブラットに述べ、オランダがチップサプライチェーンでASMLに匹敵する支配的地位を築く機会があると強調した。もっとも現時点でのNearfieldの規模はASMLとは比較にならないほど小さく、「第二のASML」となるには長い道のりが残されている。
調達資金は製品開発・研究・生産能力の拡張に充てられる予定だ。今週、ロッテルダムに新たな生産ラインが開設される一方、アジア(シンガポールが有力)での製造能力も増強される。主要顧客は韓国のSamsungを含むアジアと米国の企業だが、サデギャン氏はオランダの専門サプライヤーネットワークを理由に、開発の中核は引き続き国内に置くと明言した。
在蘭日本人にとっての注目点
オランダのテックエコシステムはここ数カ月で大型調達が相次いでいる。2月にはアイントホーフェンのAxelera AIが2億5000万ドルを調達し、英蘭のCuspAIも4億ドル規模の調達が報じられた。サデギャン氏はかねて、高度外国人材向け税優遇「30%ルーティング」の縮小が同社の優秀な人材確保を脅かすと警告している。制度変更の動向は、オランダで働く日本人技術者や研究者にとっても無縁ではない話題だ。急成長するチップ産業が生み出す雇用機会と、それを支える政策環境の両方を注視する必要がある。
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情報源: DutchNews
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