メインコンテンツへスキップ
観光抑制を掲げながらPR継続——アムステルダム市の矛盾した姿勢
政治・行政 読了 2分

観光抑制を掲げながらPR継続——アムステルダム市の矛盾した姿勢

住民団体が訴訟を示唆、新4カ年計画の発表が迫る

この記事をシェア ✓ コピーしました

アムステルダム市は近年、オーバーツーリズムへの対応として観光客の削減を公式に掲げてきた。ところが、市のマーケティング機関「Amsterdam&Partners」は2025年も22件のグループおよび134件の個人向けプレスツアーを実施し、5,282件超の報道露出を生み出したと自ら公表している。英紙ガーディアンには「アムステルダムのブラウンバーを巡る旅」と題した記事が掲載され、同機関がその取材を「一部支援した」と認めている。公約と現実のギャップは、市民や住民団体の目にも明らかだ。

539万ユーロの使途をめぐる論争

市はAmsterdam&Partnersに対し、2025年だけで539万ユーロを拠出している。この資金は文化キャンペーン、国際会議の誘致、そして来訪者を周辺地域に分散させる「ABHZ(Amsterdam Bezoeken Holland Zien)」プログラムに充てられているという。同機関の広報担当者は「追加の来訪者を誘致するのではなく、アムステルダムがどう描かれるかに影響を与え、来訪者をより均等に分散させることが目的だ」と説明する。メディアからの取材依頼の多くは記者側から持ちかけられるものであり、機関はその内容を市の目標に沿った方向へ導く役割を担っているとも述べた。

一方、住民団体「Amsterdam heeft een keuze(アムステルダムには選択肢がある)」の広報担当ジャック・フッベス氏は「市が観光を減らしたいと主張しながら、事実上、追加の観光を補助金で支援している。これは最善に見積もっても極めて非効率だ」と批判し、市への訴訟でこの矛盾を正面から問う考えを示している。

「2,000万泊」の上限は形骸化しているのか

アムステルダムは2020年、3万人超の市民が署名した請願を受け、年間宿泊数2,000万泊を上限とする自主基準を設けた。しかし今年2月、市当局者がこの上限は「目標にすぎず、法的根拠はない」との見解を示したことが明らかになった。住民団体は2028年までに宿泊数を2,000万泊以下に削減するよう求め、さらに各種対策の効果についても情報公開を要求している。

市の観光担当責任者ソフィアン・ムバルキ氏は「オランダへの観光を促進することが目的ではなく、市内への来訪者数を減らし、来た人を他の地域に分散させることに注力している」と声明で強調した。また、来訪者減少を重視する立場と、より多くの客を望む市内の事業者との利害が相反していることも認めており、Amsterdam&Partnersを含む関係者との協議を続けているという。

在蘭日本人生活への影響と今後の焦点

市はすでに、民泊の制限強化やヨーロッパ最高水準となるホテル料金の12.5%という観光税の引き上げ、「節度のない観光客お断り」キャンペーンなどの措置を実施してきた。非居住者のカナビスカフェ利用禁止や観光税のさらなる引き上げも検討されている。新たな4カ年計画はまもなく発表される予定で、オーバーツーリズム対策の具体的な方向性が示される見通しだ。アムステルダムに暮らす日本人にとっても、市内の混雑緩和や生活環境への影響という観点から、この計画の中身は注目に値する。

情報源: DutchNews

この記事をシェア ✓ コピーしました

📩 無料メールニュース

明日のオランダニュースも、メールで読みませんか?

毎朝、その日のニュース要約と音声版(ポッドキャスト)が
メールで届きます。無料です。

無料で購読する

関連ニュース