議会で深夜まで荒れた論戦——社会の暴力「正常化」を巡る与野党の攻防
首相が強く非難、FVDの「理解示す発言」が火種に
オランダ議会で先ごろ、「政治・社会における暴力の正常化」と題した討論が深夜まで続いた。難民申請者センター(AZC)周辺で相次ぐ抗議活動での暴力行為が直接の引き金となったが、議論はやがて極右思想との関連、コミュニティの萎縮、さらにはイスラエル情報機関との疑惑にまで飛び火し、複数の議員が「こんな審議を見ていて何が得られたのか」と嘆く混乱した幕切れとなった。
首相、「コンマの後」に潜む正当化を問題視
討論の中心に立ったのはイェッテン首相だ。首相はAZC周辺の暴力が地域の政治家や住民を萎縮させ、自由な発言を阻んでいると指摘した。批判の矛先は主に民主主義フォーラム(FVD)に向けられた。FVD党首デ・フォス氏は「暴力は否定する」と述べたものの、難民受け入れを巡る問題があれば暴力に走る人の気持ちも理解できると続けた。首相はこの「コンマの後」を問題視し、「意図を正当化することに等しい」と断じた。
デ・フォス氏はさらに、「オランダはオランダ人のもの。ここに代々住む人々のものだ」と発言し、他者には帰国を促すべきだとも述べた。D66のパテルノット院内総務はこれを「露骨な人種差別」と直接批判。CDAのボンテンバル党首も「道徳的な羅針盤があるか鏡を見てほしい」と激しく反発した。また、国家テロ対策・安全保障調整官(NCTV)が「右翼過激思想への言及」と位置づける「大量置換(オムフォルキング)」や「再移住(レミグラティ)」といった用語をFVDが使い続けている点も、左右を問わず各会派から追及された。
少数派内閣が抱える「連携のジレンマ」
連立パートナーのD66・VVD・CDAは、パレスチナ系難民申請者への暴力を示唆する発言や「大量置換」発言で物議を醸したマルクスゾウエル議員率いる会派との「包括的な協力関係」は持たないと強調した。一方でイェッテン首相は、少数派内閣として難民政策や住宅政策といった重要課題で「できる限り幅広い多数派」を形成することが不可欠だとも述べ、政策ごとの柔軟な連携まで否定はしなかった。首相はマルクスゾウエル議員の発言自体は「暴力の必要性はなく、そのほのめかしも許容できない」と明確に退けているが、GroenLinks-PvdAやデンク、動物党などの野党は、なぜそれでも「ドアを少し開けたまま」にするのか理解できないと批判した。
討論の終盤、デンク党がマルクスゾウエル議員とイスラエル情報機関モサドとの関与を示唆する動議を提出しようとしたが、議長は「議会審議は証拠のない職権乱用疑惑を提示する場ではない」として却下した。内閣側は難民政策をより厳格化すると約束し、AZC周辺暴力の組織的な背後関係については引き続き調査中であることを明らかにして議論を締めくくった。
在蘭日本人にとっての視点
今回の討論は直接的な法改正や制度変更をもたらしたわけではないが、オランダ社会が「政治的暴力の容認」という一線をどこに引くかを巡って揺れていることを浮き彫りにした。AZC周辺での暴力行為は依然として継続中であり、内閣が約束した難民政策の厳格化がいつどのような形で実現するか、今後の議会審議に注目が集まる。地域社会の安全や外国人の受け入れに関わるテーマだけに、在蘭の外国人コミュニティにとっても他人事ではない動向だ。
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情報源: NOS Algemeen
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