政府、退職年齢の引き上げ加速案を撤回——労組の圧力が奏功
財政への影響は27億ユーロ規模、社会保障交渉の行方も不透明に
オランダ政府が、退職年齢の引き上げペースを加速させる計画を正式に撤回した。社会問題相のハンス・フェイルブレイル氏が断念を表明したもので、FNV・CNV・VCPの主要3労働組合が広範な社会保障交渉への参加を拒否すると警告したことが直接の引き金となった。
「72歳まで働く」試算が示した計画の厳しさ
撤回された計画は、D66・VVD・CDAの連立合意に盛り込まれていたもので、平均寿命の伸びに連動して年金受給開始年齢を引き上げるという内容だった。オランダの定年年齢はすでに欧州でも最も遅い部類に入るが、現行の試算では現在20代の人々は72歳まで働かなければならない可能性があると指摘されていた。
労組側はこの計画を、2019年に締結された年金合意への違反だと批判した。同合意では、平均寿命が1年延びるごとに退職年齢を8カ月引き上げるという枠組みが定められており、今回の政府案はそれをさらに超えるペースでの引き上げを意図していた。交渉が決裂の様相を呈したのは3月初め。組合代表はロブ・イェッテン首相の公邸「カッツハウス」での会合をわずか45分で退席し、政府および使用者側との恒例の春季交渉もキャンセル。夏季にストライキを実施すると警告していた。
財政への影響と今後の交渉課題
計画の撤回は政府の財政運営にも直接的な影響を与える。歳出削減または増税で27億ユーロを手当てしなければ予算目標の達成が困難になる見通しで、代替策の議論は避けられない状況だ。
労組はさらに、失業給付の最長支給期間を現行の2年から1年に短縮する案や、長期障害給付「WIA」の削減計画にも強く反発している。フェイルブレイル氏はこれらについても、組合との協議を経て見直す用意があると述べており、社会保障制度をめぐる交渉は引き続き難航が予想される。
在蘭日本人を含む長期在住者にとっても、オランダの年金制度の動向は老後の生活設計に直結する問題だ。退職年齢の引き上げ加速案は今回棚上げとなったが、財政圧力が続く中で政府が別の形で制度変更を模索する可能性は否定できない。社会保障をめぐる労使・政府間の協議の行方を引き続き注視しておく必要があるだろう。
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情報源: DutchNews
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