コロナ禍の意思決定を問う——オランダ議会調査委、5月29日から公聴会
約50名が宣誓証言、ロックダウン決定の舞台裏に迫る
2020年の春、オランダを覆ったコロナウイルスの第一波は、約1万人の命を奪った。そのうち半数が介護施設の入居者だった。スタッフは防護具のないまま感染者と向き合い、マスクも防護服も病院に優先供給されていた。あの混乱の中で、誰が何を決め、誰の声が政策を動かしたのか——その問いに正面から向き合う場が、ついに設けられる。
カットハウス会合という「非公式な核心」
議会コロナ調査委員会は5月29日(金)から公聴会を開始する。VVD議員ダーン・デ・コルト氏が委員長を務め、マーク・ルッテ前首相やフゴ・デ・ヨンゲ元保健相、RIVM前所長ヤープ・ファン・ディッセル氏ら約50名が宣誓のうえで証言する予定だ。
調査の中心テーマのひとつが、首相公邸カットハウスで毎週日曜に開かれていた非公式会合の実態である。安全調査委員会(OVV)はすでに2022年の報告書でこの会合を問題視していた。ここでロックダウンや外出禁止令などの重要政策が「集中的に準備」され、その後の閣議や議会審議は事実上の追認にすぎなかったとOVVは指摘する。担当官僚の間では責任の所在が曖昧で、「組み込まれていたはずの牽制機能が回避されていた」とも批判された。
カットハウスに常駐したのが、RIVM所長でアウトブレーク管理チーム(OMT)議長を兼ねるファン・ディッセル氏だ。集中治療専門家のデイデリク・ホメルス氏やエラスムスMC総裁のエルンスト・カイペルス氏も定期的に同席した。彼らは政策を助言しながら、テレビのトーク番組で同じ政策を解説するという「役割の混在」も招いた、とOVVは記している。
「紙の上では万全」だった危機体制
オランダは感染症対応の制度上の準備は十分に見えた。GGDからRIVM、各病院、安全地域まで、関係機関を列挙するだけでOVVの報告書は8ページを費やした。だが実態は違った。検査能力は不足し、効率化が進んだ医療システムにはICUの予備容量がなく、ウイルスの広がりを把握する手段もほぼなかった。ワクチン接種キャンペーンの立ち上がりも遅く、混乱が続いた。
介護施設は第一波の危機対応の協議の場から除外されていた一方、病院側の関係者は重要会合に参加していた。その結果、死者の半数を占めた施設入居者への対応が後手に回ったとOVVは結論づけている。マスク着用義務の導入が他の多くの欧州諸国より大幅に遅れ、室内でのマスク義務化は2020年12月まで実施されなかった背景にも、OMT議長ファン・ディッセル氏個人の「マスクには付加価値がない」という見解が影響していたと報じられている。
在蘭日本人にとっての意味
今回の調査委員会は、学校閉鎖やコロナ入場証(coronatoegangsbewijs)、外出禁止令といった自由制限措置そのものの是非ではなく、それらがどのようなプロセスで決定されたかを問う。国民オンブズマンのライニール・ファン・ズッテン氏は2022年、コロナ対策が子どもたちの生活や教育の権利、集会の自由など他の基本的権利への配慮を欠いていたと指摘しており、調査委はその検証も担う。
英国では2024年の同種の調査で、少数の担当者が十分な代替案検討なく重大な決定を下した「集団思考(groupthink)」が厳しく批判された。オランダの調査がどのような結論を引き出すかは未知数だが、パンデミック当時にこの国で生活していた在蘭日本人にとっても、あのロックダウンや外出禁止令がいかに決まったかを知る機会となる。公聴会は公開で行われる予定だ。
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情報源: NRC
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