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難民分散法が機能不全——「法を守れ」と叫ぶ市長たちとハーグの混乱
政治・行政 読了 2分

難民分散法が機能不全——「法を守れ」と叫ぶ市長たちとハーグの混乱

目標未達の自治体が続出、財源も政治的後ろ盾もないまま現場は疲弊

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2023年に施行された難民分散法(スプレイディングスウェット)は、亡命申請者を全国に均等に分散させることを義務付けた法律だ。しかし施行から2年以上が経過した今も、その履行は大きく滞っている。NRCの取材に応じた8人の市長と1人の副市長が口をそろえたのは、「法律を守らない自治体は容認できない」という強い言葉——だが同時に、国が地方を見捨てているという深い怒りだった。

「4万か所不足」のまま動かない現場

全国342市のうち目標を達成しているのはわずか92市にとどまり、なお4万か所以上の受け入れ枠が不足している。その結果、入国審査の集中する施設テルアペルは常に満杯状態となり、行き場のない亡命申請者があふれ続けている。これは「危機」ではなく、制度の必然的な帰結だとする見方もある。

背景には、受け入れ施設建設への地域住民の反発がある。ローズドレヒト、イッセルスタイン、アーペルドールンなど各地で抗議活動が発生しており、極右の若者たちが組織的に乗り込んで暴力を振るうケースも増えている。こうした動きは、反移民的な立場をとる国政政治家によって公然と支持されてもいる。

ハーグの「混乱を播く」発言

市長たちが特に強く批判するのが、VVD党首ルーベン・ブレケルマンスによる「自治体は独自に受け入れ可否を決めてよい」という発言だ。ハルデルウェイクのイェルーン・ヨーン市長(VVD)はこれを「民主主義の掘り崩し」と呼び、「法律を変えたければ議会でやればいい。それまでは法を執行すべきで、疑いの余地はない」と語った。エペのトム・ホーン市長(CDA)は「立法権の一端を担う人間が法に従わなくていいと言うのは、ほとんど慣例化しつつある。発言を撤回しなかったのは残念だ」と述べた。

デン・ハーグの副市長マリエル・ファビエは、2015年のシリア難民危機後に当時の国務長官クラース・デイクホフが受け入れ施設を拙速に閉鎖した過去を引き合いに出し、「一貫性のない政策が積み重なり、住民は何を信じればいいか分からなくなっている」と指摘。前任のマルヨレイン・ファーバー移民大臣(PVV)の時代については「自治体との対話が一切なく、あえて機能しないよう誘導しているようにさえ見えた」と述べた。

新大臣への期待と残る不安

複数の市長は、新たに就任したバルト・ファン・デン・ブリンク移民大臣(CDA)が分散法を堅持する姿勢を示していることを歓迎している。来週には目標未達の自治体が大臣に説明を求められる予定で、政府は人手不足の小規模自治体向けに「フライング・チーム」による支援も発表した。

ただ、エーデのルネ・フェルフルスト市長(CDA)は「本当に厳格な難民政策を進める意志があるなら、受け入れへの社会的支持を築くための真剣な取り組みが必要だ。その覚悟がまだ見えない」と慎重な見方を崩さない。アッセンのマルコ・アウト市長(無所属)は「分散法は任意ではない。共同の義務だ」と簡潔に言い切った。

在蘭日本人にとって、この問題は難民政策という遠い話に見えるかもしれない。しかし、難民の受け入れをめぐる地域社会の分断や抗議活動は、オランダ各都市の日常の安全や地域の雰囲気にも直結している。法と政治が噛み合わないまま現場だけが疲弊する構図は、この国の統治の現在地を映し出している。

情報源: NRC

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