同僚の給与を照会できる権利が実現へ――オランダ、男女賃金格差是正に本腰
EU指令の国内法化でいよいよ動き出す給与透明化の波
オランダで、職場の給与透明化をめぐる法整備がいよいよ動き出した。Vijlbrief社会・雇用相は、EU指令に基づく給与透明化法案を前内閣から引き継ぎ、国内法化を主導する意向を示した。この法律が施行されれば、労働者は同一・類似職種の同僚がどのくらいの給与を得ているかを会社に照会できるようになる。男女の賃金格差(オランダ統計局CBSの2024年データによれば、同一職種でも女性は男性より低い時給を得ている)を縮小することが主な目的だ。
採用面接での「前職給与」質問も禁止へ
法案には、給与照会権にとどまらない措置も含まれている。採用面接において、応募者の前職の給与を尋ねることが禁止される。Vijlbrief大臣は「雇用主が前職の給与を基準にオファーを決めれば、男性が常に高い水準からスタートし続けることになる。だからこそ禁止は合理的だ」と説明する。また、従業員100人以上の企業には、2027年分の賃金データから報告義務が課される。前内閣の崩壊によって約1年間、審議が停滞していたが、専門家や利害関係者への意見聴取は既に完了しており、法案は実質的な議論の段階に入っている。
企業側が抱く懸念と大臣の反論
経営者団体VNO-NCW、MKB Nederland、AWVNはいずれも法案の趣旨には賛同しつつも、実務上の問題点を訴えている。最大の懸念は行政負担の増大だ。退職金などの二次的労働条件や派遣労働者の労働時間も賃金計算に含める必要があり、その調査・整理に多大なコストがかかるという。さらに、賃金比較で悪い数字が出た場合に、背景や事情の説明なしに「不当なレピュテーション損害」を受けるリスクも指摘されている。労働法弁護士の団体も、採用手続きや職務記述書、給与体系の全面的な見直しを迫られる企業が出てくるほか、従業員や求職者からの情報照会が大量に届く可能性があると警告する。
こうした批判に対し、Vijlbrief大臣は「行政負担が増えることは否定しない。しかし公正な報酬は支払われなければならない」と明言した。また、法律が差異を「発見」しても解消は強制できないとの指摘に対しては、「コーヒーマシンのそばで同僚が『私は10%多くもらっている』と言った瞬間に、あなたには交渉の力が生まれる」と述べ、透明化自体が変化を生む契機になると主張している。
在蘭日本人にとっての影響
日本企業のオランダ現地法人も、従業員が100人を超える場合は2027年のデータから報告対象となる点に留意が必要だ。また、求職中の在蘭日本人にとっても、採用面接で前職の給与を尋ねられることがなくなるという変化は実感しやすい。给与照会の権利が生まれると、現在の職場での処遇を客観的に把握しやすくなり、交渉の土台が整う。法案の最終的な議会審議は今後始まるが、EU指令への対応という観点から、方向性が大きく変わる可能性は低い。職場環境の変化を見据えた準備を早めに進めておく価値はありそうだ。
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情報源: NOS Algemeen
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