蘭保健評議会、ロングコロナ対策の強化を政府に勧告——推計40万人、通常医療では限界
専門医の育成や家庭医への研修強化を求める声、患者からも切実な訴え
オランダ保健評議会(Gezondheidsraad)は、保健・福祉・スポーツ省に対し、ロングコロナへの対応強化を求める勧告を正式に発表した。同評議会は国内の罹患者数を約40万人と推計しており、慢性疲労・睡眠障害・息切れ・いわゆる「ブレインフォグ」など重篤な症状を抱える患者が多いことを強調している。評議会は今回の勧告を、慢性感染後症候群(PAIS)全体を対象とした提言として位置づけており、ロングコロナはその代表的な疾患とされる。
通常医療での吸収は困難、専門体制の整備を
現在、ソフィー・ヘルマンス保健大臣はロングコロナ患者への対応を通常の医療体制内で賄うべきとの立場を維持している。しかし保健評議会は、「ロングコロナを含むPAIS患者の推計人数は、通常ケアでは単純に吸収できない」と明確に反論。専門医の育成や、家庭医( huisarts)向けの研修強化を優先課題として求めている。保健省は現在、評議会の勧告内容を精査中としており、今後の政策転換が注目される。この勧告は、過去2年間の政府方針からの大きな転換点とも評されている。
患者が語る6年間——無理解と孤独
2020年3月の第一波でCovid-19に感染し、その後ロングコロナを発症したマリー=シャルロット・ペゼさん(49歳)は、慢性疲労症候群・POTS(体位性頻脈症候群)・神経障害性疼痛・脱現実感など、複雑な症状を今も抱えて生活している。今年1月には感染後心膜炎を発症し、すべての身体活動を停止せざるを得ない状況となった。
ペゼさんが特に強調するのは、医療不信と孤立の問題だ。「以前の家庭医はロングコロナの存在を信じず、6年間にわたってすべての症状を心気症として扱った。真剣に取り合ってもらえないことが、何よりもつらかった」と語る。現在は無期限の病気休暇を取得し、障害認定へ向けた手続きを進めている。こうした患者の声は、制度の不備が医療的な問題にとどまらず、社会的・精神的なダメージを生んでいることを示している。
在蘭日本人にとっての視点
日本でも長期的なコロナ後遺症の認知が進んでいるが、オランダでは制度整備の面でさらに課題が多い。家庭医制度が医療アクセスの入り口となるオランダでは、担当医の理解度が患者のQOL(生活の質)を大きく左右する。今回の勧告が実現すれば、家庭医への研修強化や専門外来の整備が進む可能性があり、ロングコロナに悩む在蘭日本人にとっても、より適切なサポートを受けやすくなることが期待される。保健省の対応と、今後の予算措置の動向が引き続き焦点となる。
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情報源: DutchNews
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