住宅ローン利子控除改革をめぐり連立与党が亀裂——廃止か現状維持か
財務省が7案を提示、年14億ユーロの節約効果も党内対立は深刻
オランダの住宅ローン利子控除(hypotheekrenteaftrek)をめぐる論争が、連立与党内の亀裂として再び表面化した。財務省は5月、この制度が抱える構造的な問題に対する7つの改革案を提示し、いずれの選択肢よりも「廃止が最善」と結論づけた。ところが、連立を組む4党のあいだでは方向性が一致しておらず、制度の将来は依然として霧の中にある。
「技術的問題」か「次期政権への先送り」か
問題の発端は2001年に遡る。当時、利子控除の適用期間が30年に上限として設定された。しかし税務当局はその期限を実際には執行できておらず、過去の申告履歴を一元管理する仕組みもないまま今日に至っている。財務省の試算では、何も手を打たなければ、権利がない可能性のある人々が控除を申請し続けることで年1億ユーロ超の損失が生じるという。
最も財政効果が高い案として挙げられているのが、2013年以前に組まれた住宅ローンについて2031年に控除を一律打ち切るという措置だ。これにより2031年から2043年にかけて年平均14億ユーロの節約が見込まれるとされる。
閣内では早くも意見が割れた。D66の税務担当副大臣エールコ・エーレンベルフは「今議会任期中に解決策を示す」と明言したが、同日中にVVD党首で副首相のディラン・イェシルゴズがこれを公に否定した。「これは技術的な問題だ。次の内閣が対処すべきだ」と彼女は述べた。次の総選挙は2030年春の予定であり、期限切れのわずか1年を切るタイミングでの判断となる。
野党を巻き込む動きと国際機関の声
連立内の対立はすでに議会採決にも影響を及ぼしている。D66とCDAは火曜日、野党と共同で2億8100万ユーロの控除拡大を覆す動議を可決した。これは閣議で自動的に計上されていた春の予算増額分を打ち消す内容で、VVDは反対票を投じた。同日、VVD所属のエールコ・ハイネン財務相はRTL Zで「控除はそのまま維持する」と明言しており、与党内の溝は鮮明だ。
国際通貨基金(IMF)も同日、年次審査の中で住宅ローン利子控除の段階的廃止を改めて求めた。IMFはかねて、この控除が住宅価格を押し上げ、賃貸居住者に不利な市場構造をもたらしていると指摘してきた。ABNアムロが昨年10月に発表した分析では、住宅所有者の大多数は月々の節税額に依存していないとの結果が示されており、「控除廃止が一般家庭を直撃する」というVVDの主張に疑問を呈している。野党ChristenUnieのピーテル・フリンウィス議員はVVDの姿勢を「砂に頭を埋めるダチョウ戦略」とBNRニュースラジオで批判した。
在蘭日本人への影響と今後の見通し
オランダで住宅を購入・保有する日本人にとって、この制度は確定申告時の重要な控除項目だ。現時点では制度変更は決まっておらず、当面は現状が維持される見通しだが、政権交代後の2030年以降に大きな制度見直しが行われる可能性は十分にある。特に2013年以前にローンを組んでいる場合、2031年の期限が実質的な節税終了点になるシナリオも現実味を帯びる。今後の議会審議や次期政権の政策方針を引き続き注視しておきたい。
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情報源: DutchNews
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