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D66党本部に爆発物投入――政治への暴力が「日常」となったオランダ
政治・行政 読了 3分

D66党本部に爆発物投入――政治への暴力が「日常」となったオランダ

容疑者の動機は不明、しかし閣僚・専門家が一斉に警鐘を鳴らす「制度憎悪」の深刻化

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5月8日木曜夜、ハーグにあるD66党本部の郵便受けに爆発物が投げ込まれ、建物内で爆発が起きた。爆発が起きた部屋のすぐ隣では、青年部「ヨンゲ・デモクラテン」が元外交官カレル・ファン・オーステロムを招いた講演会を開いており、参加者の一人はNRCに「何かが投げ込まれる音がした。右を見ると、花火のようなものが炸裂していた」と語っている。参加者は即座に玄関を封鎖し、別の避難経路で外へ脱出した。負傷者はいなかった。

D66党首のヤン・パテルノッテ氏は翌日、損傷した入口扉の前に立ち、「あと数分遅ければ、大勢が玄関ホールにいたはずだ。そうなっていれば、多くの人が今ごろ病院にいた」と述べた。容疑者は住所不定の37歳男性で、動機は明らかになっていない。

閣僚が一斉に「民主主義への攻撃」と表明

翌金曜朝、首相府前で記者団の取材に応じた閣僚たちは、口をそろえてこの事件を民主主義への挑戦と位置付けた。VVD党首のディラン・エシルギョズ氏は「これは人々を黙らせるためのものだ。それが成功すれば、民主主義は崩壊する」と断言。法務大臣のダフィット・ファン・ウェール氏は「民主主義の根を断ち切る行為だ」と表現した。

首相のロブ・イェッテン氏(D66)は週次記者会見で、この爆破を孤立した事案とは見なしていないと明言した。「ほぼ毎週、国内のどこかで、暴力や脅迫で主張を通せると考える人間が現れている」と警告し、政治家、救急隊員、記者、地方議員への暴力が一つの流れでつながっていると述べた。

数字が示す暴力の広がり

事件の背景には、近年のオランダ社会全体における暴力・脅迫の増加がある。地方議員協会(NVvR)によれば、地方議員の3人に1人が脅迫を受けており、これは2022年比で倍増している。報道自由団体「PersvVeilig」の調査では、記者への暴力・脅迫の報告件数が2020年の121件から262件へと増加した。労働組合CNVは2024年に、救急隊員の31%が物理的暴力を経験し、71%が罵倒や脅迫にさらされていると報告している。

オランダ総合情報保安局(AIVD)は2025年版の年次報告書で「反制度的過激主義」の章を設け、「腐敗したエリート」への憎悪を核とした言説が社会全体に浸透しつつあると警告。その一部が実際の暴力的脅威につながっていると指摘した。

自由大学の分極化・回復力学の特別教授ハンス・ブテレイル氏は、「21世紀に入り、私たちは敵意を動力源とする政治的関係を目にする機会が増えている」と述べ、それが「本格的な制度憎悪」へと変質しつつあると分析する。D66がその矛先になりやすい理由として、同党に付きまとう「コスモポリタン・高学歴・都市型」というイメージが、「エリートの代表」と見なされることにつながっていると指摘する。

D66は以前にも暴力にさらされてきた。昨年9月、ハーグのマレーフェルトで起きた抗議デモでは、党本部に燃えるゴミ箱が押し込もうとされる事態が発生。また元党首のシフリード・カーク氏は2023年に政界を退いたが、その主な理由は家族を巻き込む絶え間ない脅迫であった。なお、2014年にはD66元党首で元厚生大臣のエルス・ボルスト氏が自宅ガレージで殺害されており、その切り絵パネルは今も議会のD66廊下に立ち続けている。

在蘭日本人にとって、こうした政治暴力の連鎖は対岸の出来事ではない。公共施設や集会への爆発物使用、地方行政への脅迫という構図は、日常の安全環境にも影を落とす。オランダ社会が「制度への憎悪」とどう向き合うかは、今後の政治・治安の両面で注視が必要だ。

情報源: NRC

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